どこかに行きたい

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空木岳

医者から強引に許可をもらったような今回の山登り。全快してないので行かない方がいいのは自分でもよく知ってる。
一番つらい体勢が”椅子に座っている格好”なんだから何時間も車に乗っていくのは かなりマズいんじゃないんだろうか。

しかしすでに”行ける”という喜びの脳内麻薬がブシャーブシャー湧き出しているのでブレーキがかからない。

荷物を軽くする事と日帰りにすることで、『穂高』は候補から消えた。それならどこへ行こう。近いから『仙丈ケ岳』?
いやいや、南アルプスだからもうちょっと後の月でも行けそうだからとっておきたい。腕を組んでしばらく考えて出した結論は、この『空木岳』だった。

中央アルプスなんて2年前の『木曽駒ケ岳』以来だ。わりと急に決まったので事前に下調べをあんまりしていない。登山届やらの関係でざっとコースタイムを調べてみる。

往復10時間オーバー

休憩なしでこの時間はけっこうかかるなぁ。そういやこの山の紹介をテレビで見た時 一泊二日だったし。病み上がりにチョイスするにはちょっと無謀だかしん。
そこでルールを決めた。途中で痛くなったら『ロキソニン』飲んですぐ下山。取返しがつかなくなってからロキソニン飲んでもさすがに下りてこれないだろう。…とは言うものの、あとちょっとで山頂ってなったら悩むんだろうなぁ。

支度を済ませ、車に荷物を積んだ。腰の違和感は先週と大体同じ。先週はこの違和感で出発を断念した。だけどまた延期はもうイヤだ。行ってしまおう。

何かを察知しているのか、見送りきた息子君が涙目でカミさんに耳打ちしている。耳打ちの内容にカミさんが爆笑している。

『もしかしたらお父さんと話すのこれが最後かもしれないから…グスン』



…縁起悪ぃな


久しぶりの出発時の息子君の涙だった。泣く我が子を置いて自分の好きなことに出かける父親はサイテーだが、許しておくれよ息子よ、山の景色がオレを呼んでいるのさ!
8月22日にぎっくり腰をやってから苦節数週間、登山のハイシーズンで自宅で四つん這いになりながら空とカレンダーを恨めし気に見上げていたが やっと旅立てる。
止めてくれるな息子くん!

車に乗り込む前にカミさんに、
『あの…穂高をテン泊にしなかったから、あの…車中泊して隣の山も登ってきてもいい?』
身の程知らずなとんでもないお願いもしてみた。『息子君の許可がでたらね』と一時保留になった。

そしてやっと金曜日の夜に北へ旅立った。


久しぶりの150号、52号。深夜の52号は ちょっと久しぶりだ。少し出発が遅れたから休憩も少なめにして行こう。



…えーっと、腰が痛い。

気のせいだ気のせいだと呪文を詠唱し、回復呪文を自分にかけるが 出発1時間を過ぎたころから我慢できないほどの痛みに変わってきた。
たまらず路肩の広くなっているところへ車を止め、前屈したり体を捻ったり。腰痛ベルトも装着した。もう帰還した方がいいというか帰還すべき痛みといってもいいくらい。ボンネットに手をかけて考え込んでしまった。

せっかく行くんだから帰ってたまるか!

一番マズイパターンである。山の遭難をする人と同じ思考だコリャ。でもまだここ山じゃないけどね。
”天気が悪いけど、ここしか休みが採れない。この先もいつとれるかわからない。だからこの天気でも登っちゃえ!”
そうやって登って遭難するケースが多いとか。ホントにこんなのと似ている。

いつもはほとんど休憩をとらずに麓の駐車場に向かうんだけど、この姿勢で発生する痛みに耐えきれず、コンビニや広い路肩に停まってストレッチをした。耐えきれないときは赤信号で止まっている時に車外に出てやったりもした。

座席を垂直にしたり、寝かせたり、ハンドル握ったまま体をねじったり…。考えつくあらゆる体勢でベストポジションを探す。
運転しながらクネクネくねくねと動きまくっていた。さながらポールダンスかボウフラの様。ハンドルにあごを乗せて運転したりして危ないったらありゃしない。

そんなボウフラ君は、そうやってなんとか無事に駒ヶ根市までたどりついた。


林道を走り駐車場へ向かう。しかし林道は八月の終わり頃から途中、工事区間があり、終点の駐車場へは行けなくなっている。その手前の駐車場までは行けるのでそこを目指した。
道はせまく暗く荒れている。車の腹をこすらないように注意して林道を登った。

駐車場へ到着。したが満車。

えー!マジっすか!?
真っ暗闇をゆっくり移動しながらなんとか停めれそうな場所をさがすもちょっと無理そう。強引に変なところに停めても嫌われるだけだ。仕方ないのでとりあえず下る。

途中、いくつも広い路側帯があるのだが『すれ違いのため駐車禁止』の立て看板があってどうにもとめられない。少し下の駐車スペースも満車だ。
あらかじめプリントアウトしてあった駐車場の紙を見てずっと下の駐車場へ向かった。

おいマジかよ…。
下る下る。4キロくらい下った。4キロなんて歩いたら1時間じゃん。しかも往復で勾配までついてるからコースタイムに2時間以上の追加になる。どうしよう…。
健全な時なら頑張ろうとする気になるんだけど…ちょっと今はケガ人だからなぁ…。
でも違法駐車したくないし、ルールを守らないとだし…。

あきらめて下の駐車場へ停め、仕方ないので仮眠をとる。
(ほかの山にしとけばよかったかなぁ…)
ちょっとだけ後悔するも もう移動する時間も無いし、腰も痛いし眠たいし。
ガッカリムードの中、座席に丸くなって寝た。


4時前、オレの車の前を上の駐車場へ向かって登っていく車が数台通過した。
そういえば真夜中も夢うつつに登っていく車を見たけど そういや降りてくる気配がない。もしかしてほかに駐車場があったのか。それとも誰かが路側帯に停めてみんなつられて停めてるのか。

なんか急にバカ正直にバカ遠い駐車場へ停めてバカみたいに一人で登ってくるのがアホらしくなってきた。エンジンをかけて登ってみた。

前から一台下ってきた。(ああ、やっぱ停めれずにあきらめて降りて来たのか)とちょっとがっかりしたが、降りてくる車になんか見覚えがあった。

あきらめムードの中、荒れた林道を登っていくと終点の駐車場の手前のわずかな駐車スペースに一台分の空きができていた。
おおお!マジすか!今さっき下って行った車の分だ。
奇跡的に空いた場所にためらいもなく滑り込む様に駐車した。超ラッキー!

そのうち終点の駐車場が満車であきらめて降りて来た先駆車数台がオレの車の前に停車してこの近辺に停めれる場所があるか模索している。3分遅かったらこの車たちに停められてしまったであろう。ホントにラッキーだった。

ただ、その降りて来た車のうち2台がオレの車の横のわずかな隙間にねじ込む様に停めて来たので助手席側の余裕が無くなった。まあこれはしょうがない。オレの車が軽じゃなかったら止められなかった隙間だしね。停めたい気持ちはみんな一緒。

もうすぐ4時。このまま寝るか、支度をするか。ちょっとだけ悩んだ。



長すぎる前置きはこのくらいにして、




5時前から支度を始めた。あんまり食欲ないんだけどコンビニおにぎりを無理くり口にねじ込んだ。
そんなことをしたのでオエッとえづいてしまった。

そして5時15分、駐車スペースを出発。
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by moriyart | 2016-09-14 21:51 | 空木岳