2016年 10月 19日
その2(仙丈ケ岳)
10時15分、仙丈ケ岳山頂へ到着。
3033m。秋でも3千メートル級に登れちゃうってすごい。仙丈ケ岳って懐の深い優しい山だ。
3時間で登ってこれました。登るのはお手軽なんだけど駐車場からこの山の麓まで行くのに手間がかかりすぎ…。
南アルプス、中央アルプス、八ヶ岳、そして遥か北アルプスまで見渡せる。ぐるり360度の大パノラマです。
ひとしきり景色を楽しんだあと まだちょっと早いんだけど昼ご飯その2。
おにぎりはさっき食べちゃったからカップラーメンを作って食べた。
カップヌードルをズルズルすすりながら景色をながめる。天気ヨシ、景色ヨシ、ラーメンヨシ。気分は最高潮。
そんな最高潮な気分でラーメンを食べながら山頂標識の方を見た時に聞こえてきた声。
『順番並んでますよ…』
『なにをえらっそうに!上から!』
御年65くらいのおっさんが山頂標識で写真を撮る順番を横入りしそうになったのを若者に指摘されて逆ギレしているようだ。
大声で威嚇しているので静かじゃない山頂でも響き渡る。
『上からとかじゃないです、みなさん並んでいるんですよ』
冷静に受け答えをしている。おっさんの方が分が悪いのでひとしきり騒いだらおとなしくなり、結局列に並び順番を待っている。
列に並んでいる人の表情が全員無表情だ。そりゃそうだ、今ので楽しい気分が吹っ飛んじゃったんだろう。指摘した若者が奥さんを撮影した時は、奥さんも無表情。見ててなんか切なくなった。
撮った後、騒いだおっさんに『おまたせしました』と場所を開ける。大人だなぁ。
その若者がオレの前を通り過ぎた時、ボソリと『いい歳して悲しいな』と嘆きつぶやいた。よく耐えた、えらいよ兄ちゃん。そして奥さん。
オレも一緒に並んでいたのなら援護もできたが、離れたところでラーメンすすりながらかばったところで完全にただのおせっかいの外野だ。
…もし、おれがその若者の場所にいて横入りされたときはどうなってたんだろう。大声で威嚇されたらどうやって受け答えていたんだろう。
自分が悪くないんだから引き下がらないとは思うが、ギャーギャー大人げなく反撃してたのかもしれない。
逆ギレして大騒ぎする老人を今まで何度か見たが、同じようなことをする若者は見ない。もしかしてある年齢以上に達するとこういう症状が出るようになるのか。
もしかしたらオレも定年を超えてしばらくするとギャーギャー騒ぐ老害になってしまう定めなのか。
今回のこの騒ぎが将来のオレに対する反面教師になってくれればと願う。切に切に。
11時過ぎ、下山を開始する。
もっとのんびりしたいんだけど ちょっと人が多すぎ。立ち上がってザックを背負うと遠くからオレのいた場所を狙っていたらしく、ササっとシートを敷いた素早いカップル。落ち着かないからもう下りますわ。
帰りは違うコースで。
下ってすぐに『仙丈小屋』を通過。
お昼時なので外のベンチでご飯を食べている人ばかりだった。
小屋へ水を揚げているポンプの周りが凍り付いていた。
さすがに3000メートル近辺の夜間や早朝は氷点下の世界だろう。
誰かが剥がした氷が登山道のど真ん中に落ちていた。
帰りの道は往路とはちがって樹林帯の中を進む。
景色はあまり見えないがこんな雰囲気もまた違った良さを感じさせてくれた。紅葉というものはすっかり終わってしまって葉のない木々がもう冬の装いに変わってしまっている。
山を下っている途中、もう一つ下っているものが…。
腹だ。
なんか腹を下しているっぽい。ダッシュで下山するほどでも途中で『キジ撃ち』するほどでもないが、やっぱりトイレに行きたい。後半は頭の中はトイレのことばかり考えていた。北沢峠に近づくにつれて上昇する血圧とケツ圧。
13時30分前に下山完了。
バス停の前のトイレに駆け込んで盛大にかました。
トイレから出てバス停を見ると今、オレが乗る予定だったバスが広河原に向けて発車してしまった。
…まあトイレ優先しないと車内で大変なことが起きるからしょうがないっちゃしゃーない。
えーっと、次のバスは何時だったっけ?なんて思いながら時刻表をみたら16時だった…。
ぎぇー!今13時半だから えらい待つぞこりゃ。乗車券売り場のおっちゃんに確認してみると ありがたいことに臨時バスが出るとの事。
うおーありがてぇ!
喜んでいれば、おっちゃんから”条件が合えば”と追加の情報。その条件とは最低20人以上の乗客が必要らしい。オレは一人目だ。ここにはオレ以外はいない。
しょうがないので数字の書かれたベンチのNo.1に腰かけた。そのうちもう二人来た。その3人からなかなか増えていかない。
ベンチに座って天井を眺める人、寝る人。オレはぼーっと外を眺めていた。しかし、やっぱり今日は人が多いのか順調に増えていき、もうちょっとで20人になりそう。
新しい人が来るたびにNo.2のベンチの人と顔を合わせて『あと2人ですね』と笑顔になる。
1時間近く待ってなんとか20人以上になりやっと出発。ここは北沢峠。峠だけに歩かずに座ってるだけならやっぱり寒い。バスの中の温かさがありがたかった。
No.1ゆえにバスの好きな場所に座れるので一番前の一人席に座った。
運ちゃんが時折、大声で景色の説明をする。今日みたいに林道から遠くの山がクッキリ見えるのは”今年初めて”なんだとか。
ふーん今年初か。 え?今年?
9月いっぱいから10月の連休までずーっと週末天気が悪かったんだとか。今年の悪天候っぷりは例年に無く、今期のバスの売り上げは いつもの三分の一だという。
車内から『へぇー』のハモリが響く。
今年初の最高の天気の日に来れて超ラッキーだった。今回も息子くんにてるてる坊主を作ってもらったけど、さすが強力な晴れパワーだ。またしばらくリチャージして新しいてるてる坊主を作ってもらわねば。
広河原に15時15分に到着、バスを乗り換えて芦安の駐車場へ向かう。臨時バスの到着を待っていてくれたんだけど、広河原から乗るお客さんでほぼ満員。乗り込んでみると座席が一つだけ空いていた。最後の1席に座れてホントにラッキーだった。芦安まで1時間も立ちんぼだなんてちょっとヤダ過ぎるもん。
オレの後に乗り込んできた人は残念、通路にギュウギュウ詰めで立っていた。
だいたい1時間かけて芦安の駐車場へ到着した。
疲れたー。(座ってたクセに)
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3033m。秋でも3千メートル級に登れちゃうってすごい。仙丈ケ岳って懐の深い優しい山だ。
3時間で登ってこれました。登るのはお手軽なんだけど駐車場からこの山の麓まで行くのに手間がかかりすぎ…。
南アルプス、中央アルプス、八ヶ岳、そして遥か北アルプスまで見渡せる。ぐるり360度の大パノラマです。
ひとしきり景色を楽しんだあと まだちょっと早いんだけど昼ご飯その2。
おにぎりはさっき食べちゃったからカップラーメンを作って食べた。
カップヌードルをズルズルすすりながら景色をながめる。天気ヨシ、景色ヨシ、ラーメンヨシ。気分は最高潮。
そんな最高潮な気分でラーメンを食べながら山頂標識の方を見た時に聞こえてきた声。
『順番並んでますよ…』
『なにをえらっそうに!上から!』
御年65くらいのおっさんが山頂標識で写真を撮る順番を横入りしそうになったのを若者に指摘されて逆ギレしているようだ。
大声で威嚇しているので静かじゃない山頂でも響き渡る。
『上からとかじゃないです、みなさん並んでいるんですよ』
冷静に受け答えをしている。おっさんの方が分が悪いのでひとしきり騒いだらおとなしくなり、結局列に並び順番を待っている。
列に並んでいる人の表情が全員無表情だ。そりゃそうだ、今ので楽しい気分が吹っ飛んじゃったんだろう。指摘した若者が奥さんを撮影した時は、奥さんも無表情。見ててなんか切なくなった。
撮った後、騒いだおっさんに『おまたせしました』と場所を開ける。大人だなぁ。
その若者がオレの前を通り過ぎた時、ボソリと『いい歳して悲しいな』と嘆きつぶやいた。よく耐えた、えらいよ兄ちゃん。そして奥さん。
オレも一緒に並んでいたのなら援護もできたが、離れたところでラーメンすすりながらかばったところで完全にただのおせっかいの外野だ。
…もし、おれがその若者の場所にいて横入りされたときはどうなってたんだろう。大声で威嚇されたらどうやって受け答えていたんだろう。
自分が悪くないんだから引き下がらないとは思うが、ギャーギャー大人げなく反撃してたのかもしれない。
逆ギレして大騒ぎする老人を今まで何度か見たが、同じようなことをする若者は見ない。もしかしてある年齢以上に達するとこういう症状が出るようになるのか。
もしかしたらオレも定年を超えてしばらくするとギャーギャー騒ぐ老害になってしまう定めなのか。
今回のこの騒ぎが将来のオレに対する反面教師になってくれればと願う。切に切に。
11時過ぎ、下山を開始する。
もっとのんびりしたいんだけど ちょっと人が多すぎ。立ち上がってザックを背負うと遠くからオレのいた場所を狙っていたらしく、ササっとシートを敷いた素早いカップル。落ち着かないからもう下りますわ。
帰りは違うコースで。
下ってすぐに『仙丈小屋』を通過。
お昼時なので外のベンチでご飯を食べている人ばかりだった。
小屋へ水を揚げているポンプの周りが凍り付いていた。
さすがに3000メートル近辺の夜間や早朝は氷点下の世界だろう。
誰かが剥がした氷が登山道のど真ん中に落ちていた。
帰りの道は往路とはちがって樹林帯の中を進む。
景色はあまり見えないがこんな雰囲気もまた違った良さを感じさせてくれた。紅葉というものはすっかり終わってしまって葉のない木々がもう冬の装いに変わってしまっている。
山を下っている途中、もう一つ下っているものが…。
腹だ。
なんか腹を下しているっぽい。ダッシュで下山するほどでも途中で『キジ撃ち』するほどでもないが、やっぱりトイレに行きたい。後半は頭の中はトイレのことばかり考えていた。北沢峠に近づくにつれて上昇する血圧とケツ圧。
13時30分前に下山完了。
バス停の前のトイレに駆け込んで盛大にかました。
トイレから出てバス停を見ると今、オレが乗る予定だったバスが広河原に向けて発車してしまった。
…まあトイレ優先しないと車内で大変なことが起きるからしょうがないっちゃしゃーない。
えーっと、次のバスは何時だったっけ?なんて思いながら時刻表をみたら16時だった…。
ぎぇー!今13時半だから えらい待つぞこりゃ。乗車券売り場のおっちゃんに確認してみると ありがたいことに臨時バスが出るとの事。
うおーありがてぇ!
喜んでいれば、おっちゃんから”条件が合えば”と追加の情報。その条件とは最低20人以上の乗客が必要らしい。オレは一人目だ。ここにはオレ以外はいない。
しょうがないので数字の書かれたベンチのNo.1に腰かけた。そのうちもう二人来た。その3人からなかなか増えていかない。
ベンチに座って天井を眺める人、寝る人。オレはぼーっと外を眺めていた。しかし、やっぱり今日は人が多いのか順調に増えていき、もうちょっとで20人になりそう。
新しい人が来るたびにNo.2のベンチの人と顔を合わせて『あと2人ですね』と笑顔になる。
1時間近く待ってなんとか20人以上になりやっと出発。ここは北沢峠。峠だけに歩かずに座ってるだけならやっぱり寒い。バスの中の温かさがありがたかった。
No.1ゆえにバスの好きな場所に座れるので一番前の一人席に座った。
運ちゃんが時折、大声で景色の説明をする。今日みたいに林道から遠くの山がクッキリ見えるのは”今年初めて”なんだとか。
ふーん今年初か。 え?今年?
9月いっぱいから10月の連休までずーっと週末天気が悪かったんだとか。今年の悪天候っぷりは例年に無く、今期のバスの売り上げは いつもの三分の一だという。
車内から『へぇー』のハモリが響く。
今年初の最高の天気の日に来れて超ラッキーだった。今回も息子くんにてるてる坊主を作ってもらったけど、さすが強力な晴れパワーだ。またしばらくリチャージして新しいてるてる坊主を作ってもらわねば。
広河原に15時15分に到着、バスを乗り換えて芦安の駐車場へ向かう。臨時バスの到着を待っていてくれたんだけど、広河原から乗るお客さんでほぼ満員。乗り込んでみると座席が一つだけ空いていた。最後の1席に座れてホントにラッキーだった。芦安まで1時間も立ちんぼだなんてちょっとヤダ過ぎるもん。
オレの後に乗り込んできた人は残念、通路にギュウギュウ詰めで立っていた。
だいたい1時間かけて芦安の駐車場へ到着した。
疲れたー。(座ってたクセに)
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by moriyart
| 2016-10-19 22:36
| 仙丈ケ岳