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どこかに行きたい

moriyart.exblog.jp

その3(丹沢山)

10時、『丹沢山』山頂に到着。
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山頂はかなり広い。そして人が少ない。山頂標識と一緒に証明写真を撮りたいけど、近くにいる人がさっき挨拶したら無視した人なので頼みたくない(小さいな)
なので杭の上にカメラを置いてセルフタイマーで撮った。
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他にも数人休んでいるがみんな火を焚きだし、ラーメンや温かいものを作ろうとしている。どうやらみんなここで休んで引き返す様だ。蛭ヶ岳には行かない気マンマンらしい。
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広場にある『みやま山荘』が営業していたのでそこで丹沢山の山バッジを買った。
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色が付いていてキレイ。それでもわりとリーズナブルだった。

『蛭ヶ岳まで往復何時間ですか?』
山荘のオーナーらしき人に聞いてみた。往復4時間だという。やっぱりなかなかの道のりと時間だ。口をへの字にしてちょっと考え込む。
『荷物をここへ置いていって身軽にすればもうちょっと早く行って来れるよ、預かりますよ』
オーナーが言った。ありがたいと思いながらも『お弁当が入っているので背負っていきたい』ことを伝えた。
それでも荷物を軽くすることを強く勧めるので思い切ってザックをここに置いておくことにした。貴重品とカメラとペットボトルと上着だけを持って。

オーナー的にはザックの中の今使わなそうな装備を置いて行けと言ったつもりらしかったが、オレが丸ごと置いていく事に少々驚き戸惑っていた。でも削れる荷物なんてほとんど無いから身軽にするのなら全部置いてくしか無かったのよ。

オーナーに礼を言って山荘を出た。
カメラとペットボトルをズボンの両腿についているポケットに入れ、上着を腰に巻いて前で縛った。風が強いからマントの様にたなびいている。
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蛭ヶ岳まで往復6.8キロ、コースタイム4時間。目標3時間弱。では行ってきます!

丹沢山から先は まず下り。広い緩い坂は駆け足で。
ってか軽い!ザックを背負ってないとこんなにも軽かっただなんて忘れてたよ。
いつも背負っている日帰りの装備なんてたかだか10kg弱だから大して行動に影響なんて少ないと思ってたんだけど、ここまで軽やかになれるなんて。
ウルトラライト派の人達が数グラムの軽量化にこだわる理由もなんとなく理解できたかも。


ただ、ザックを背負ってる利点もあるんだよね。転倒したり落下しても背中への衝撃から守ることができるし、落石を背中で受けることもできる。まさに盾だ。そういや緊急用の食料も絆創膏なんかのファーストエイドもダウンジャケットもみんなザックの中だ。
やっぱり背負ってきた方がよかったかな…と一瞬不安になるも、この軽やかさにウキウキしてやっぱり駆け足で進む。

立ち止まって景色をながめる。
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雲の隙間から青空がちらほら見えるけど曇天。風が強い。時折ビュッと吹き抜ける時があってザザァと木々が音を立てている。ちぎれた小さい雲が山の間を風に乗って高速に移動している。前にも後にも人の気配がまったく無い。
そんな光景をながめていたら、なんだろ…言い知れぬ不安が押し寄せてきた。理由とか理屈とか関係無しにとにかく不安で不安でしょうがなかった。

不安だし、立ち止まったせいで冷えたのでまた走り出した。
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丹沢山から蛭ヶ岳まではずっと尾根沿いを歩く。ずっとひらけていて、向かいの山や遠くの景色まで見えるので見晴らしがいい。
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高台から向かいの山を見ると尾根沿いに登山道がある。それを目で追っていくとずっと先の山の頂上に山小屋らしきものが見えた。
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いやいや、けっこう遠いなあ。
小さなピークがいくつかあるので登ったり下ったりを何回か繰り返して進む。
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11時半、丹沢山域最高峰の蛭ヶ岳に登頂。
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山頂は広くてとても整備されている。丸太ベンチやテーブルもあった。こんなに広いのにここにいるのはオレとおっちゃん二人だ。おっちゃんはラーメンを作っていた。
おっちゃんは山頂標識からずいぶん離れた場所にいて、しかも調理中なので写真を撮ってもらうのを頼みづらい。だから山頂標識からちょっと離れた柵の杭の上にカメラを置いてセルフタイマーで撮った。
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威嚇中のザリガニかよ…。
おっちゃんは遥か後方にいるのでオレのアホ行為は見えないだろうが、やっぱり気になって撮影後におっちゃんの視線を確認する。前のめりになって鍋の中のラーメンをほぐしていたのでセーフ。

最高峰だけあって景色はよかった。だけど雲は多め。
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風が強い時に見る雲だ。
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霞んで見えるあの景色は相模湾と秦野市街なのだろうか。ちょっとわかんない。
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しばらく眺めていたら低い雲がだんだん集まりだし、遠くの景色をブラインドした。風の音とそれに吹かれる草の音が気分をすごく不安にさせる。やっぱいい気分になるためにはお日様の陽光って大事なんだなと思った。
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風の音と混じってズルズルラーメンをすする音も聞こえてきた。どうやらおっちゃんのラーメンが出来上がった様だ。
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大量のラーメンをすくい上げて大口開けてかきこむ様に食べている。食べ方が豪快で見てるとおいしそう。
てか、オレもハラ減った。

帰ろう!

山頂にあった蛭ヶ岳山荘には寄らずにそのまま通り過ぎた。
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丹沢山まで元来た道を戻って3.3km。
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さあ頑張ろう。丹沢山山頂でごはんを食べよう。小走りで移動しながら時折『ごはんっごはんっ』と掛け声を上げていた。

12時45分、丹沢山に帰ってきた。
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4時間のところを2時間半で帰ってきた。やっぱなんにも背負ってないと身軽だ。ここの山荘のおっちゃんが強く勧めるわけだわ。
山荘に入って荷物を受け取った。礼を言って山荘を出る。オーナーは淡々とした表情と話し方だったが、最後の『気を付けて』の言葉の時だけ子供みたいな満面の笑み『超スマイル』を浮かべて言ったのが印象的だった。


丹沢山山頂のベンチでやっとお昼ごはん。
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コンビニおにぎりとカップラーメン。
木に囲まれている場所なので風を気にせず落ち着いて食べることができた。
食べ終わってからはゆっくりすることも無く、すぐに山頂を下りた。

13時50分、塔の岳まで帰ってきた。
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6時間のところを4時間45分。まずまずだ。
相変わらず風強い。遮るものが無い吹きっ晒しなので立ち止まっているとみるみる体温が奪われていく。
ひらけた場所だし、凧でも揚げようかと思ったけどなんとなくやめておいた。

実は『いつか山頂で凧を揚げたい』てな感じに小さな凧を買ってあった。もうずいぶん経つ。組長と行った穂高の時には用意はされていたと思う。
でも山頂で凧を揚げている人を見たことが無いし、揚げていいのかもわからない。ヘンに注目されるのもイヤだしね。
だからせめて迷惑がかからないように広い山頂、糸が切れて飛んで行ってしまっても容易に回収できそうな場所。恥ずかしいから人が少ない所。
そうなると北アルプスは ほぼダメだろう。崖下なんかに落ちたら回収不能だし、山頂狭いし、人多いし。
またいつかどこかの山でコッソリ揚げますわ。


塔の岳から見える蛭ヶ岳には雲がかかった。
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雲がかかる前に行って来れてよかった。
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そのあとは延々と下り。
何千何万とありそうな丸太階段をずっと下る。こりゃ膝にきそうだ。
午後になって気温が上がったからもしかしたらヤマビルがいるかもしれない…こわいー!

なんてビクビクしながら速足で下りていく。


16時、秦野ビジターセンターまで下りてきて下山完了。
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トイレに行った。その後足洗い場で靴に着いた泥をブラシを借りて落とす。至れり尽くせりでありがたい。
バスターミナルには丹沢山と鍋割山からの下山者がたくさんいてバスを待っている。

駐車場に戻ってきた。
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朝あんなにあった車もオレの車だけになっていた。どうやらホントにみんな丹沢山止まりで蛭ヶ岳まで行ったのはオレだけだったみたい。
いやいや、みんな堅実だ。

車の横で着ていた服を1枚ずつ脱いで、そのたびに裏返してバサバサはたく。もしかしたら服の裏側にヤマビルが侵入している可能性があるからだ。お持ち帰りなんてぜったいイヤだ。いや、いないとは思うよ。でもなんとなくね。
最終的にはパンツ一丁になってヤマビルチェックをしていた。すぐ横は住宅街だけどキャーと叫ばれようが、『変態!』というご褒美の言葉を浴びようが、ヤマビルチェックを優先していた。
ってか叫ばれてねぇし。
けっきょくヤマビルの姿は無く、インナーも血だらけになっていないのでどうやら被害はなさそうだ。
あーよかった。





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by moriyart | 2016-11-13 07:02 | 丹沢山