2016年 04月 29日
その3(両神山)
名残惜しいが、両神山山頂を後にする。
少し下れば雲の中に入り、一面霧に覆われる。そらそうだなぁ。
そして帰りは違うルートへ。
地図上では破線になっているところで、崩落とかあるみたいでけっこう険しいらしい。『七滝沢コース』という。
道標の前に立って考えていると、後続の人達は普通の登山道へ当たり前の様に下りて行った。一瞬ためらったが、登山届はこっちの道で出してあるし、メチャクチャ危険でもなさそうなので計画どおり七滝沢コースへ向かった。
七滝沢コースの初めは登山道がメチャメチャ狭い。肩幅くらいしかないのに谷側は超急斜面。ちょろっと踏み外せば簡単には登ってこれなさそう。慎重に歩く。
歩いている途中で人が叫ぶ…というか呼ぶような声が聞こえた。空耳かな?と思ったのでさらに歩いていく。
前から人が来た。ド狭い登山道だったので山側に倒れるようにして避けていたら、その女性が話しかけてきた。
その女性の旦那さんがトイレに行くと言って先に行ったのだが戻って来ない。分かれ道にいた目撃者の話では七滝沢の方へ入って行ったので探しに来たのだが、奥まで行っても大声で呼びかけても返事が無いのだそう。
この先を下りるオレに、もし逢ったら”一般道で下りることを伝えてほしい”のだそう。
奥さんは平静を装っている様だが取り乱す一歩手前な感じだ。たしかに超急斜面で霧で下まで見えなくて返事が無いとなれば、一瞬良くない事を想像してしまう。
奥さんと一緒にいる男性が谷に向かって大声で呼びかけた。返事無し。
旦那さんの名前を聞いて互いに別れて歩きだす。60歳らしい。急に緊張してきた。本当に大丈夫なのだろうか。もし何かあった状態で見つけてもオレ一人っきりで何ができるんだろうと不安MAXになった。スマホを出して見ると圏外。
ふと前を見ると おっちゃんが歩いてくる。
あれ?この人かな?でもタイミング的にありえない。奥さんと別れてから30秒も経っていないからだ。
『石部さん(仮)ですか?』と聞いてみれば そうだと言う。振り返るとまだ数十メートル先に奥さんが見えた。そしてたまたま振り返った奥さんが旦那さんに気がついた。
『なんで返事しないのよー!』
奥さんが責めまくっているが、死ぬほど安心したのが伝わってきた。そして一緒にいる男性に猛烈にお礼を言っている。あれ?息子さんとかじゃなかったんだ。通りがかりの人が付き添ってくれてたんだ。
やさしいなー。山の人はいいひとだなー。
離れているので手を上げて奥さんに挨拶して別れた。ひと安心して下って行く。やれやれ、何も無くてよかったよ。
滝があった。
けっこう、いやかなり大きい。流量は少ないが落差はけっこうあった。なんかちょっとうれしい。滝らしい滝をみれたからだ。
写真にはどうしてもショボく写ってしまう。
こんな看板があった。
またまたぁ、大げさだなぁ…なんてのぞいてみればホントに絶壁だった。北アの岩稜の絶壁でも70~80度だったりするし、剱岳の『カニのたてばい』だって多少傾斜はついていた。だけどここはホントの垂直、90度。しかも下まで見えない。一人の時もし落ちたら後続の人に絶対に見つけてもらえないであろう。超危険。さすが両神山、怖すぎる。
下りの鎖場出現。
なんか岩がツルツルしていてなおかつ濡れている。実際下ってみれば これがまた滑る滑る。まるでローションでも塗られているかの様。
木道や木の橋もあって『滑りますので注意』と書いてある。
滑らないように慎重に渡るも ほぼ必ず滑る。両足をすくわれた様に尻もちを突く。
『もーーー!カンベンしてくれーー!』
思わず叫んでしまった。こんなに滑って尻もちを突いた山は初めてだ。1万回くらいコケている。霧で濡れているせいなんだろうけど、警戒していても滑るのにはまいった。
下って行けば、ヤマカガシに遭遇。他にも多くの種類のトカゲを見たが、神さんの山だし構わずに放っておいた。
13時前、両神山荘まで降りてきた。
看板犬『ぽん』が呑気に迎えてくれた。
駐車場の自分の車の横で湯を沸かしてラーメンを作った。3分待っている間に着替える。コケまくって泥だらけの手袋とズボンを脱いで汗でビショビショな服と一緒に天日に乾かしながらラーメンを食べた。
さて、埼玉県の山深い所から帰りましょうか。
埼玉→山梨は山深い所を抜けて行く。
途中、ループ橋を通過するのだが、そのループ橋からとんでもなくデカいダムが見えた。ハンドルを握りながら『うおー!すげー!』と叫んだ。どうやら観光できるらしいので迷わず立ち寄った。
ここは『滝沢ダム』
駐車場に車を停め、管理事務所前まで行けば、入口にこんな張り紙が。
これは貰わないといけないでしょう。インターホンを押して事務所のかたから滝沢ダムの『ダムカード』をゲットできた。これで2枚目。
しばらくダムの散策。堰堤上を歩いた。黒部ダムは弧を描くアーチ型なのだが、ここは直線。対照的だ。なんかズッシリ男性的。かっこいい。
本当はスケールがバカでかいんだけど、どうしても写真に撮るとチンケだ。
エレベータに乗って下まで行けるらしい。これは行くでしょう!
地下2階まで降り、トンネルを抜けてダムの下に出た。
うおおおおお!でっけぇえええ!
人間ってホントすんげぇなぁ。素直に感動する。巨大すぎる人口建造物を見上げているオレはきっとバカ口を開けているに違いない。
さて、エレベータに乗って上まで戻ろうかと思って横を見ると上まで延々と続く階段があった。
落差100m以上、435段。上まで階段で登れば149キロカロリーの消費になるとのこと。よーしやってやる!
ジグザグに続く階段を駆け上がる。うおおおおおおおおお!誰もいないので軽く雄叫びを上げた。
しかし途中で膝に手を突いて肩で息をした。見た目以上にハードだった。そして汗が出てきた。さっき温泉入って出たばっかなのに…。自分のアホさ加減にホトホト嫌気がさしたが、ここまでくれば最後までやり抜くべし。再び駆け上がる。夏山のみのノボラーなめんなよー。
ダムを横から見た角度。この角度はさすがによじ登ることができないであろう。
最後の長い直線階段を気合いで駆け上がり、温泉でさっぱりしたはずの体が元通りリセットされて山から下りた直後の様に汗だくになっていた。アホすぎる。
でもカッコ良すぎるダムを見学できたしヨシとする。ダムカードの2枚目もゲットできたし。ダムマニアがいるっていうのも何となく理解できた。
そう思いながら車で走っていると、今度は違ったタイプのダムが見えてきた。
……もう…いいかな
素通りした。ダムマニアになれず。
.
少し下れば雲の中に入り、一面霧に覆われる。そらそうだなぁ。
そして帰りは違うルートへ。
地図上では破線になっているところで、崩落とかあるみたいでけっこう険しいらしい。『七滝沢コース』という。
道標の前に立って考えていると、後続の人達は普通の登山道へ当たり前の様に下りて行った。一瞬ためらったが、登山届はこっちの道で出してあるし、メチャクチャ危険でもなさそうなので計画どおり七滝沢コースへ向かった。
七滝沢コースの初めは登山道がメチャメチャ狭い。肩幅くらいしかないのに谷側は超急斜面。ちょろっと踏み外せば簡単には登ってこれなさそう。慎重に歩く。
歩いている途中で人が叫ぶ…というか呼ぶような声が聞こえた。空耳かな?と思ったのでさらに歩いていく。
前から人が来た。ド狭い登山道だったので山側に倒れるようにして避けていたら、その女性が話しかけてきた。
その女性の旦那さんがトイレに行くと言って先に行ったのだが戻って来ない。分かれ道にいた目撃者の話では七滝沢の方へ入って行ったので探しに来たのだが、奥まで行っても大声で呼びかけても返事が無いのだそう。
この先を下りるオレに、もし逢ったら”一般道で下りることを伝えてほしい”のだそう。
奥さんは平静を装っている様だが取り乱す一歩手前な感じだ。たしかに超急斜面で霧で下まで見えなくて返事が無いとなれば、一瞬良くない事を想像してしまう。
奥さんと一緒にいる男性が谷に向かって大声で呼びかけた。返事無し。
旦那さんの名前を聞いて互いに別れて歩きだす。60歳らしい。急に緊張してきた。本当に大丈夫なのだろうか。もし何かあった状態で見つけてもオレ一人っきりで何ができるんだろうと不安MAXになった。スマホを出して見ると圏外。
ふと前を見ると おっちゃんが歩いてくる。
あれ?この人かな?でもタイミング的にありえない。奥さんと別れてから30秒も経っていないからだ。
『石部さん(仮)ですか?』と聞いてみれば そうだと言う。振り返るとまだ数十メートル先に奥さんが見えた。そしてたまたま振り返った奥さんが旦那さんに気がついた。
『なんで返事しないのよー!』
奥さんが責めまくっているが、死ぬほど安心したのが伝わってきた。そして一緒にいる男性に猛烈にお礼を言っている。あれ?息子さんとかじゃなかったんだ。通りがかりの人が付き添ってくれてたんだ。
やさしいなー。山の人はいいひとだなー。
離れているので手を上げて奥さんに挨拶して別れた。ひと安心して下って行く。やれやれ、何も無くてよかったよ。
滝があった。
けっこう、いやかなり大きい。流量は少ないが落差はけっこうあった。なんかちょっとうれしい。滝らしい滝をみれたからだ。
写真にはどうしてもショボく写ってしまう。
こんな看板があった。
またまたぁ、大げさだなぁ…なんてのぞいてみればホントに絶壁だった。北アの岩稜の絶壁でも70~80度だったりするし、剱岳の『カニのたてばい』だって多少傾斜はついていた。だけどここはホントの垂直、90度。しかも下まで見えない。一人の時もし落ちたら後続の人に絶対に見つけてもらえないであろう。超危険。さすが両神山、怖すぎる。
下りの鎖場出現。
なんか岩がツルツルしていてなおかつ濡れている。実際下ってみれば これがまた滑る滑る。まるでローションでも塗られているかの様。
木道や木の橋もあって『滑りますので注意』と書いてある。
滑らないように慎重に渡るも ほぼ必ず滑る。両足をすくわれた様に尻もちを突く。
『もーーー!カンベンしてくれーー!』
思わず叫んでしまった。こんなに滑って尻もちを突いた山は初めてだ。1万回くらいコケている。霧で濡れているせいなんだろうけど、警戒していても滑るのにはまいった。
下って行けば、ヤマカガシに遭遇。他にも多くの種類のトカゲを見たが、神さんの山だし構わずに放っておいた。
13時前、両神山荘まで降りてきた。
看板犬『ぽん』が呑気に迎えてくれた。
駐車場の自分の車の横で湯を沸かしてラーメンを作った。3分待っている間に着替える。コケまくって泥だらけの手袋とズボンを脱いで汗でビショビショな服と一緒に天日に乾かしながらラーメンを食べた。
さて、埼玉県の山深い所から帰りましょうか。
埼玉→山梨は山深い所を抜けて行く。
途中、ループ橋を通過するのだが、そのループ橋からとんでもなくデカいダムが見えた。ハンドルを握りながら『うおー!すげー!』と叫んだ。どうやら観光できるらしいので迷わず立ち寄った。
ここは『滝沢ダム』
駐車場に車を停め、管理事務所前まで行けば、入口にこんな張り紙が。
これは貰わないといけないでしょう。インターホンを押して事務所のかたから滝沢ダムの『ダムカード』をゲットできた。これで2枚目。
しばらくダムの散策。堰堤上を歩いた。黒部ダムは弧を描くアーチ型なのだが、ここは直線。対照的だ。なんかズッシリ男性的。かっこいい。
本当はスケールがバカでかいんだけど、どうしても写真に撮るとチンケだ。
エレベータに乗って下まで行けるらしい。これは行くでしょう!
地下2階まで降り、トンネルを抜けてダムの下に出た。
うおおおおお!でっけぇえええ!
人間ってホントすんげぇなぁ。素直に感動する。巨大すぎる人口建造物を見上げているオレはきっとバカ口を開けているに違いない。
さて、エレベータに乗って上まで戻ろうかと思って横を見ると上まで延々と続く階段があった。
落差100m以上、435段。上まで階段で登れば149キロカロリーの消費になるとのこと。よーしやってやる!
ジグザグに続く階段を駆け上がる。うおおおおおおおおお!誰もいないので軽く雄叫びを上げた。
しかし途中で膝に手を突いて肩で息をした。見た目以上にハードだった。そして汗が出てきた。さっき温泉入って出たばっかなのに…。自分のアホさ加減にホトホト嫌気がさしたが、ここまでくれば最後までやり抜くべし。再び駆け上がる。夏山のみのノボラーなめんなよー。
ダムを横から見た角度。この角度はさすがによじ登ることができないであろう。
最後の長い直線階段を気合いで駆け上がり、温泉でさっぱりしたはずの体が元通りリセットされて山から下りた直後の様に汗だくになっていた。アホすぎる。
でもカッコ良すぎるダムを見学できたしヨシとする。ダムカードの2枚目もゲットできたし。ダムマニアがいるっていうのも何となく理解できた。
そう思いながら車で走っていると、今度は違ったタイプのダムが見えてきた。
……もう…いいかな
素通りした。ダムマニアになれず。
.
by moriyart
| 2016-04-29 22:40
| 両神山