どこかに行きたい

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その6(式根島)

二日目、5時過ぎに起きた。
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波の音が聞こえる。外に出てみると少し曇り気味だった。
歩いて5秒の海まで来て、朝日に染まる磯の風景をながめていた。自分の足元から砂浜へ立ちションの跡があった。夜中に便所に行くのがメンドーで、どうやらここで済ませたようだ。
あぶねぇ!踏むとこだった。誰だ!この中の4人の誰かだな?
12時前にはどんどん自転車を返して13時前には港で待機してないと今日の便に乗れない。一日ひと便なのて乗り遅れたら明日になってしまう。さらに海上が荒れて明日欠航にでもなったら目も当てられない。一泊分の食料しか持ってないし、職場も休めない。遅刻厳禁だ。

朝飯の支度をした。
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パンを焼いた。ベーコンエッグも作ろうと、ベーコンを焼いて上に生玉子を落とす。
なんかフライパンと五徳がガタガタしてるなと思ったら、フライパンがテーブルの上に落下してひっくり返った。
テーブルの天板の隙間から生玉子が地面へ抜け落ちてしまってテーブルの上には 半焼けのベーコンだけが残った。仕方ないのでベーコンだけ拾い上げてもう一度焼いた。
あっちゃー…しょうがない松の木の上からこっちを見ているカラスくんにあとで食べてもらうか。
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食器を洗い、立て掛けて乾かしている間に朝風呂ならぬ朝温泉に行こう。カイヅカイブキに紐を渡して物干しにしていた場所からタオルと水着を取った。

脱衣所で着替えている時に兄ちゃんも朝風呂にやってきた。
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そのうち若者一人も来た。もう一人の大学生は寝ていて起きないという。
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日の出から30分程度しか経ってないので朝日がいい感じ。3人で浸かっていた。
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寝起きでテンションが そう上がるわけでもなく、会話は控えめ。
なんとなくぼーっと景色を見ていたら、脱衣所に誰かが来た。

白髪のおいちゃんがやってきた。そして若者達と大いに盛り上がっている。ああ、昨日話題を咲かせてた人物って、このおいちゃんか。
朝からにぎやかで喋る喋る。時折意味不明な横文字を並べる。カタカナ英語というよりひらがなっぽい。
いつの間にかオレもそのおいちゃんのペースに飲まれてしまった。

『じゃ、今日も海へ入ってみるかね』

(えええええええええええ!)心の中で大絶叫していた。3月の早朝に海へ入水だなんて死ぬじゃん。オレは観光に来たんだ、修行じゃない。
おいちゃんの命令に近い提案に断れるはずもなく入水自殺…いや楽しい行水の準備を進める。この若者達は昨日まであたり前の様に入っていたからもう慣れちゃってるみたい。

源泉の量を増やし、冷却用の水を絞り、湯温を上げてできる限り体を温めておく。
充分に温まったら、いざ!海へ入水じさ…いや、観光入水!

一番に入った兄ちゃんが『撮っていいっスよ』と言ったのでパチリ。(晒していいよとは言われてないけど…)
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岩の上にカメラを置いて腰まで浸かったあと、一気に前へ飛び込む様に浸かった。
『はぉっふぅ!』
やっぱ変な声出た。温まって広がっていた血管が一気にキューってなっていくのがわかる。呼吸のリズムがヘンになる。岸まで必死に泳いだ。

その時、夢中で必死だったんだけど、一瞬だけ(めっちゃ海が透明だ!)と感動した瞬間があった。海底までスッケスケだったからだ。

海から上がるとあまりの冷たさにみんな勝手に笑みがこぼれた。おいちゃんが『島海苔』があったと、岸壁から剥がして『食え』と差し出した。腹が弱いのでちょっとだけかじってみた。ちょっと固いかな。無くならないガムみたい。
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キャンプ場へ戻った。
自分は今日帰るので片付けよう。他のみんなも今日でやっと帰るらしい。昨日までもう一日ステイしようかちょっと悩んでいたみたいだけどやっぱり帰るらしい。なのでみんな各々テントを片付けた。
みんな『村民文化祭』に行くらしいので自分も観光を早めに切り上げて行けたら行くよと声をかけてみんなと別れた。

まずすべての荷物を背負ったまま港まで向かった。観光案内所で荷物を預かってもらい、身軽になってから自転車を漕いで観光地を廻った。

『泊海水浴場』
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映画とかアニメに出てきそうな入り江の砂浜だ。
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夏は海水浴客で賑わうんだろう。透明度が高いうえに魚がたくさんいるらしいので海に入っているとすぐ横を熱帯魚が通り過ぎていくのだそうだ。
夏の式根島も興味があるなぁ。
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その後もいくつかの海岸線と海水浴場や夏専用のキャンプ場も見て回った。

式根島には露店の温泉が朝入った『雅の湯』以外にもう二つある。そこも見てみよう。
そこへ向かう途中にある『湯加減の穴』
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ここに手を突っ込むと現在の『地鉈温泉』の湯加減がわかるのだそうだ。
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なんかちょっと温いかな。
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その先にある『地鉈温泉』
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鉈で割ったような地形なのでこういう名になったとか。
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自転車を停めた場所からけっこう下りていく。
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ホントに鉈でスッパリやったみたい。細い道だ。

断崖の岩の間を抜けると…
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磯のくぼみの中はすべて温泉。あっちこっちの大きな水たまりはすべて温泉。バカすげぇ!
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源泉は80℃くらいあるので、海水と混ざってちょうどいい湯加減の場所を自分で探すらしい。
ってことは干潮の時は全部熱くて入れないって事か。
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ここの温泉も硫化鉄泉。錆水の様な色だ。
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ってか、場所によってはほとんど海。もう海との境目が無い。ここまで海と境目の無い温泉見たことない。
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海に入って、寒くなったら温泉に入って、また海に入ってーなんて入り方ができそう。

だ・け・ど、

シャワーが無い、更衣室が無い。おまけに時間が無い。なのでここの入浴はあきらめた。

ホントに天然で、特に清掃とかしてるわけじゃないから、岩に苔というかなんというかヌルヌルしたなんかが付いている。手でこするとヌルヌルが剥がれてぶわぁーって湯に浮いてくる。
シャワーで流せないんじゃしょんないなと素直にあきらめて写真を撮って温泉地を後にした。
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さっきの断崖の細い道の下には落石の跡が幾つもある。頭上注意だ。
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ここの岩は柔らかいんだろう。心無い人達の記念の文字が多数彫られていた。イニシャルだったり、フルネームだったり。
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でも『昭和三十年』とか彫ってあって、石の保存力のすごさを思い知った。木や人工物に彫っても何十年も残らないだろう。
(こんだけたくさん彫ってあるなら、ちょっとぐらいオレだって…)
1秒だけ悪魔がささやいたが、悩むことも無く岩を彫るのをやめた。
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一応照明があるから夜も来れるんだろう。

でも人里からかなり離れているから一人で来るにはかなり勇気がいるだろう。
ホラ、夜の海って…アレじゃん。いやじゃん。


もう一つの露天風呂『足付温泉』にもやってきた。
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ここはかなりひらけた場所で、だだっ広いエリアにあちこちのくぼみに温泉が湧いている。
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波打ち際に海に近いくぼみの温泉におっちゃん集団が入浴していた。

ここには脱衣所があるが、そこで着替えるのがめんどくさかったんだろう、岩の影に隠れて着替えている。
オレの存在に気が付いて集団で岩陰に身を隠した。
オレが女ならわかるけど、男だから別にいいのに…。50メートルほど離れた岩陰に裸の人間がチラっと見えた後、岩陰に隠れられると、なんか別の生き物を目撃したかのような不思議な気分になる。


世界の人魚伝説ってもしかしたら岩陰にいたスッ裸のオッサンだったのかもしれない。

んなワケねーよ!




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by moriyart | 2017-03-18 18:19 | 式根島