どこかに行きたい

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その6(ジャンダルム・前穂)

9時10分『前穂高岳』山頂に到着
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到着した時、山頂の様子が変だ。みんなガスガスの谷を見下ろしている。
『大丈夫ですかー!』
一人の男性が大声で呼びかける。何かあったみたい。
『助けがいりますかー!』『返事ができますかー!』
の呼びかけに、ガスの向こうから『ビー!』とホイッスルの音。

えっ…

びっくりして声が出てしまった。遭難でもしたのか。そこにいた女性が『もし遭難してたらどうすればいいの?』と困惑している。
おいおいおいおい、すげぇタイミングで来ちゃったな…とオレも戦慄した。
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『助けが必要なら二回吹いてください!』

の、問いかけにガスの向こうから『ほへっ?』となんとも間の抜けた声。どうやら遭難では無いらしい。ガスで対岸や谷が見えないから状況がわからないが、向こうの人達がメンバー同士の何かの合図でホイッスルを使っていたらしい。
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『合図に使うとしても、山でホイッスルを使うって誤解されるからやっちゃダメだよなぁ』
と、男性が笑いながらも半ギレしていた。そりゃそうだな。いかんぞ、君たち!姿見えないけど。
でも何事もなかったのなら それはそれで良かったよ。


写真を撮ってもらった。
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これはオレが構える前にシャッターを切っちゃったミスショットだけど何気ないのも面白いので採用。


紀美子平まで帰ってきた。
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これで山行はすべて終了。あとは下るだけ。でもまだまだ気は抜けない。重太郎新道もけっこう険しいからだ。

有名な ひん曲がった梯子も架け替えられて、普通の梯子になっていた。ってか、ひん曲がったやつ見た事無いんだけどさ。
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さっきからヘリコプターの音が聞こえている。こんなガスの日に荷揚げなんてするんだ。位置的に岳沢小屋へ荷物を届けているのかと思っていたが、それにしてもいつまでもホバリングしているような音だ。
そう思っていれば、一瞬ガスが晴れ、見えた光景は県警のヘリが何かをしているところだった。
なにかあったっぽいなぁ…ヤダなぁ。

けっきょく何があったのかわからないが、県警のヘリが山の近くでホバリングしているのは、見ていてドキドキする。


重太郎新道を下っていく。前穂から上高地まで一気に下る道なので、けっこう勾配がある。下りの段差も大きく、地味に膝に来る。もう両膝にイヤな鈍痛を感じるようになった。いつもは左だけなんだけど。

視界が開けて『岳沢小屋』がずっと見えてるのになかなか近づいてこない。
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ついに雲の下に出た。
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ジャンダルム、奥穂は見えないけど 西穂は見える。
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上高地も見えるが、まだこんなに見下ろした状態なので あと何百メートル降りるんだろうか。いや、1000メートルくらいは下りないとかな。

オレ的に苦手な段差を下っている時に、岩の上にポツンと血痕を発見した。
何かのケモノのヤツかなぁなんて思いながら歩いていれば、どんどん増えていった。
いや、これって絶対ヒトの血だわ。

コケたのか。岩で切ってしまったんだろう。べらぼうな量じゃないけど恐らくその周りの服は真っ赤だろうなぁ。でも自力で下山しようとしてるのでそこまでは重傷じゃなさそうだ。
場所的にもさっきのヘリとは関係無さそうだしね。


11時半に岳沢小屋に到着。
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腹減った。持ってきたマーガリン入りレーズンパンを食べた。
なんか炭酸ジュースが飲みたかったのでオランジーナを買って飲んだ。
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足指がふやけて靴擦れ一歩手前だったので靴下を脱いで乾燥させた。膝もそうだが足全体にダメージが溜まってきた。さすが重太郎新道、今まで下ってきた道の勾配を思い出すと、ちょっと登りで歩きたくない道だ。

その後も小一時間下り、13時に上高地まで下りてきた。
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上高地は観光地なので、ここまでくると突然余所行きのオシャレ服を身にまとった半ブルジョアが多数出現するようになったので今までとのギャップに多少の戸惑いを感じた。
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こんな平日にこんな場所をフラフラ歩けるなんて、どんな金持ちかよ!と見苦しい嫉妬をしたのだが、聞こえてくる言語が日本語じゃなかった…。

あ…いや…なんでもないんです。


13時20分 河童橋に到着。
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やっぱりここはにぎやかだ。
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橋の上から見上げると奥穂や前穂などの山頂部分にのみ雲がかかっている。まあ雨が降らなかっただけでもヨシとしようかね。
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13時30分 上高地バスターミナルに帰ってきた
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なんとか無事に帰ってこれました。早く温泉に入りたいな。
シャトルバスに乗り込む。二人掛けの窓側に座った。満員まで乗せるので誰かオレの隣に座る事になる。
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あ、昨日風呂入ってないし、汗だくだったからオレの隣に座っちゃった人、汗臭くてゴメンね。上品なご婦人だったら申し訳ないなぁ。若いおねえちゃんなら汗まみれでもいいなぁ。
『ここ、いいですか?』
声がかかったので、どうぞ~と言って座ってもらった。

…が!

オレの心配がまったく無意味なモノになった。
隣に座ったおっちゃん、恐らく3日以上風呂に入ってないかほりがする。かほりというか、激臭。

糸目のオレの目がまんまるになって、口が真一文字。
むせてはダメだ、むせてはダメだ。これはさわやかな高原の香りなんだよきっと。
お酢と十円玉のにおいが混ざったような香りも10分もすれば慣れ、窓の外の大正池の景色を楽しんでいた。
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by moriyart | 2017-09-16 15:24 | ジャンダルム・前穂高岳