どこかに行きたい

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その5(爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳)

14時前に冷池山荘に着いた。
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山荘に入って鹿島槍ヶ岳の山バッジを買った。
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ネットで偶然知った この山荘オリジナルのTシャツも欲しかったので聞いてみたら、だいたいが売れてしまって今は不人気カラーしか無いらしい。そうだなぁ、もうシーズンも終わりだしね。
Mサイズは蛍光グリーンしか無かった。蛍光はさすがにいらんかな。地味好きだし。でも遭難した時に目立って逆にいいかも。まあ買わなかったけどね。
背中に『登魂』って書いてあってカッコ良かったのになー。とうこん?のぼりだましい?どっちにしてもカッコええなー。

はっ!ザック背負うと見えないじゃん…下界じゃ着ないし…


山荘を出発し、途中 往路で寄らなかった『爺ヶ岳中峰』に登った。
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巻道を歩いて鹿島槍に向かったからだ。もう15時になる。
風がさらに強くなってハイマツがざわざわ音を立てる。歩いている人もほとんどいなくなり、だいぶさみしくなってきた。すれ違うご婦人たちが風で飛びそうな帽子を押さえながら歩いている。『風強いですねぇ』があいさつの代わりになってきた。


さらに爺ヶ岳南峰巻道を通過していよいよ目指す種池山荘がやっっと近くに見えてきた。
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もう15時半。駐車場を出発してから11時間行動をしている。途中テントを張ったり鹿島槍の山頂で休んだが、それでも10時間くらいは歩いているだろう。
さすがに疲れて歩き方もトボトボとなんだか貧乏くさい。陽も傾き、周りには誰もいないので寂しすぎ。
もし鹿島槍の北峰まで行ってたら、さらにもう一時間追加で歩いていたのか…。体が北峰へ行きたがらなかったのはこういう事だったのかな。もう一時間歩くってかなり辛そうだ。暗くなりそうだし。


山荘を通過して一度テントに戻り、つまみと飲料水を入れるプラティパスを持って再び山荘に行った。
山荘前のテーブルでは何人かが休んでいたり、早い夕食を採っていたが、見ると各々生ジョッキをグイっと傾けている。生ビール旨そうだ。

山荘で爺ヶ岳の山バッジを買った。
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最初は缶ビールを買うつもりだったが、思ったよりジョッキが大きくて量が多そう(ほんっとに卑しいな)なのとまだ山で生を飲んだ事が無かったのと、意外にリーズナブルだったので今回奮発して生ビールを頼んでみた。ホラ、Tシャツ買わなかった分お金浮いてるし。(いいわけ)

厨房のお兄ちゃんがサーバーから生ビールを注いでいる時に(ビール多めビール多め、泡少なめ)と呪文の様に詠唱し、ビール増し増しの魔法をかけた。
注ぎ終わって手渡しで受け取る時に、きっとオレは手と一緒にベロも出していたに違いない。
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見晴らしのいいベンチに腰掛け、豚肉のジャーキーを食べながらグイとジョッキを傾けた。

っくぅ~~!んんめ~!


琥珀色の液体に向こう側の景色を透かして眺めたりして楽しんでいた。すぐ後ろのテーブルには団体さんがいるんだけどジョッキを空にかざしたり覗いたり。完全にアヤしい人認定されたわ。でもいいんだ、この幸せをかみしめたい。
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そうだよコレだよ!こういう時間も欲しかったんだよ。北峰まで行って帰ってきたら暗く寒くなっちゃうからこんな時間が楽しめなかったはずだ。
オレが目指す山登りはピークを踏むことだけじゃない。山頂からの景色、その山自体の形を楽しむ、酒タイム(※泊まり限定)の充実なんだよ。コースタイムや山頂への執着やバッジのコンプリートは二の次なんだぞ。

…誰に言われたわけでもないのにいちいち自分に言い聞かせるところが ただの酔っぱらいである。
隣に誰かいたらアツく語っちゃいそうで、自分でも恐ろしい 恐怖の酔っぱらいが出来上がった。

でも確かに北峰まで行っていたら、この酒タイムは無かったと思う。北峰を断念してしばらくは(やっぱ行けばよかったかな…)と後悔していたが、生ビールを飲んでいたらこれで良かったんだと思い直すことができた。
やっすい性格なのであった。


水を買ってテン場に戻ってきた。
冷えてきた。予報では氷点下になるらしいので暖かい食べ物が食べたい。この夏のテン泊スタイルは鷲羽岳の縦走型とジャンダルムの稜線型で 重い食料はあきらめ、カリカリ湯戻しのさみしい食事だったので、今回の重量物を持ってこれるベース型のテン泊には気合を入れた食事にしようと決めてきた。
でも凝りに凝ったものでは時間もかかるし、片付けがメンドイのでそういうのは春の島旅のテン泊の方へまわした。

今回はというか、今回もになってしまうが、おでん
パウチに入っているのをそのまま鍋に開ければ済むので楽この上ないし、最強にあったまる食事だ。
鳳凰三山の時もおでんだった。あの時は『名古屋風味噌おでん』で、今回は『セブンイレブンのおでん』。

と、その前に日本酒を燗につける。(まだ飲むんかい)
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日本酒を温めたら湯に浸けたまま下ろして鍋にパウチのおでんを開けて温めた。
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おでんが温まるまでポン酒は待っていようかと思ったけど、我慢ができなかったので開けて飲んだ。
っかー!くるねー!
甘辛い日本酒のこの味も久しぶりだ。胃袋がぐわ~っと熱くなる。
ぐつぐつ煮えたおでんの竹輪から食べてみた。
あったけぇ~しゃーわせだー!
ハフハフしながら食べるも湯気や白い息があまり出ない。どうやら空気が乾燥している様だ。そういやさっきテントポールを触った時にバチッと静電気でしびれたし。冬の訪れも近いかな。
おでんは一人前なのでペロッとたいらげ、残りの汁に鶏肉とうどんを入れ、そのままだと薄いので『うどんつゆの素』を足し、最後に玉子を入れた。

ひとすすりズズズと食べる。元おでんの煮汁なのでなんか味わいが複雑だ。アリっちゃありなんだけど、うどんの汁として味わうと濁った印象になってしまった。まあいいや、これも山メシの醍醐味。豪快に行きませう。

完食。熱燗とおでんとうどん。最強の温まる食べ物で、心も体もぽかぽかになった。持ってきた液体モノが一気に無くなったので明日の荷物は さぞ軽いであろう。

歯を磨き、トイレに行くために山荘へ来た。
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日は陰り、かなり寒くなったので山荘前のテーブルの人はほとんどいなくなった。
たしかに風は強いが、予報ほどの強さではなさそうだ。冷池山荘の稜線のテン場はどうなんだろう。ちょっと心配してしまった。
陽が沈んでからラジオを取り出し、しばらく聞いていたが、いつの間にか寝ていた。近くのテントの誰かが大イビキをかいて寝ている。時折寝言らしき言葉も聞こえる。まあそれも山のテン場の醍醐味。



夜、目を覚ますとテントの天井がマダラの模様になっている。
なんじゃこれ?と驚いた。テントの屋根に落ち葉が乗っかって、そこへ月明かりが透過してくるのかと内側からバシバシ叩いて落ち葉を落とそうと試みたが、どうやら落ち葉では無いようだ。
ああ、木漏れ日ならぬ『木漏れ月』なのかと理解した。立ち木の葉の隙間を抜けてきた月光が、テントにマダラの影を落としている様だった。

さ…寒い…

予報で氷点下になるのを知っていたので万全な用意をしていたはずだが、寒い!凍てつく寒さだ。寝袋にインナーシーツを入れ、厚着をして入っていてもすこぶる寒い。
シュラフカバーもあるので使えばいいのだが、取り出してセッティングするのが寒そうなのでヘンに我慢していた。おまけにおしっこ行きたい。最初はモジモジして我慢していた。
いつもはこの流れで朝まで我慢できるんだけど、今回は寒いせいなのかどうにも我慢できなかった。仕方ないのでヘッデンを頭にはめ、灯りをともして山荘まで向かった。

山荘から大町市の灯りが見えた。遠く風のせいなのかゆらゆらと陽炎の様に街路灯のあかりがまたたいている。

街のあかりが♪っとてもきれいね♪お・お・ま・ち♪
つい歌ってしまったんだけど、こんなド深夜の屋外で誰かに聞かれたら死ぬほど恥ずかしかっただろう。聞いた方としても丑三つ時に暗闇からヘタクソな いしだあゆみの替え歌なんか聞こえてきたら恐怖以外なにものでもないだろう。

トイレから戻り、寝袋に潜って朝まで寒さと格闘していた。かなり乾燥しているらしく、いつもあるテント内の結露は全く起きず、翌日の撤収はとても楽なものになった。




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by moriyart | 2017-10-07 15:00 | 爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳