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どこかに行きたい

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その3(茅ヶ岳)

茅ヶ岳まで戻ってきた。
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10時前。さっきとは違い、茅ヶ岳の山頂は人人人で盛況している。単純にオレの登り始める時間が早すぎるだけなようだ。んなら、お昼に着くようにするには9時くらいから登り始めればいいのかな。
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山頂にたくさんいる人たちは数組の団体様らしい。カップルのペアもいた。どうやらソロはオレだけの様だ。まあでも、みなさんワイワイ楽しそうだ。
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ここで湯を沸かしてお茶かコーヒーでも飲みながらあんパン食べようかと思ったけど、虫がたくさん飛んでいる。
ハエの様に顔にやたら止まってくる。他の人達も顔の前で手をブンブン振って虫を追い払っている。
『お昼食べる?どうする?でも虫がこれじゃなぁ…』
そんな会話が聞こえてきた。じっとして立っていると顔にぴたぴた張り付いてきてうるさいやらくすぐったいやらでコリャたまらん。

湯でも沸かせば、鍋の中に虫がダイブしそうなのでお湯を沸かすのをあきらめ、あんパンを取り出して立ったままかぶりついた。虫がうるさいし、立ったままだし、落ち着かないなぁ…。
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しばらく景色を楽しんだ後、下山を開始する。
朝は谷コースを登ってきたが、帰路は尾根コース。尾根と言っても樹林帯なので展望は無い。

尾根沿いには『ミツバツツジ?』なのかな?が咲いていた。
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まだほとんどの木が芽吹いてないので真っ茶色の世界に鮮やかな紅紫色の花が映える。

なだらかな下り坂なんだけど、実はこのタイプの登山道がいちばん苦手だ。オレはね。
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足が斜めに着地するのでたまに滑るし、靴の中で足がつま先方向にコツコツ当たったりして靴擦れが発生しやすいからだ。

…それってただ靴が足に合ってないだけなんじゃ…ボソボソ。(うっさい)

とにかく苦手な坂を延々下って行った。


11時27分、『深田記念公園』まで下りてきた。
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広場があって、四阿があって、石碑や案内看板があって。
石に深田久弥の言葉が彫ってあった。
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『百の頂に
  百の喜びあり』



深いのか単純なのか、学の浅いオレにはよくわからないけど、なんとなく言いたいことはわかる。
自分は頂に立った時、喜びよりも体の底から湧き上がる達成感が凄いけどなぁ。『百の頂に百種類の達成感あり』ってか。

『深田久弥は山が好きだったから山で死ねて本望だね』
なんて、きっといろんな人が言っただろうと想像するも、やっぱり68歳の若さでは早すぎるよなぁ。本人もせめてあと2~30は登りたかっただろうね。勝手な思い込みだけどさ。
脳卒中か…自分もなんとなくその気があるから気を付けなければ…。オレが倒れてしまう山は、やはり『毛無山』なんだろうか。葬式中にプークスクスされちゃうんだろうよ。

急な斜面に立っている四阿に入って景色をながめた。
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誰も居なくて静かだ。鳥の声がする。
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ここでお弁当食べてもよかったかな。まあ次回かな。



11時36分、下山完了。
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駐車場は大盛況していた。
オレが車を停めた時には3台しか無かったのに、バスまでいてすごい数だ。登り始めてしばらくは全然他の人に合わないから、人気のない山なのかな、なんて思っていたけど、どうやらオレの登り始める時間が早いだけだったらしい。
そうだなぁ、山頂でご飯食べるならもう二時間遅く出発しないと。やっと今がお昼だしね。


車に乗ってちょっとだけ遠回りして やってきたのは『道の駅 韮崎』
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ここで茅ヶ岳の山バッジを買った。
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『深田久弥終焉の地』って書いてある。
わざわざ書く必要があるのだろうか。まあいいや。


お腹が空いた。今はお昼。
ここに来るまでに すき家やマックなんかのファーストフードの店がたくさんあったからそこで安く済ませてしまおうかと思ったけど、ドライブスルーや駐車場がめちゃめちゃ混んでたのと、なんか定食じみたものが食べたかったので、道の駅の食堂に寄ってみた。
お昼なのにお客さんが一組しかいないのが一瞬心配だったが、もし味がアレだったなら話のタネになるだろうと『豚モツ定食』を頼んでみた。
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いや、普通においしかったよ。
途中から一味をかけたりして味を変えて楽しんだ。キュウリの漬物の漬かり具合がオレ好みだった。
ごはんと汁物があるだけでもホッとする。
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完食。ごっそさんした!



帰り道、『韮崎旭の湯』に寄った。
ここは2度目だ。以前に来たのはいつだったっけなぁ…ずいぶん前かな。

湯船に浸かり、身体に着く炭酸ガスの泡がだんだん増えていくのを観察したりして楽しんだ。

温泉から上がり、ロビーまで来た。着替えを入れる袋を忘れたので、脱いだ山着をそのまま抱えて持ってきた。
ロビーの床に置いて服を畳んでいると、『温泉は飲んだ?』の声が聞こえた。
顔を上げると受付のおやっさんがオレを見ている。『飲んでないです』と答えると、湯呑茶碗を手渡され、ペットボトルに入った温泉水らしきものを注がれた。
一気に飲み干し、味の感想を言うと、おやっさんはいろいろと話しかけてくる。
『温泉から出るとき、最後に体を流したのか?』
『あ、はい、ついやってしまいました。』
『流しちゃあダメだよ、せめてかけ湯だよ』
予想どおりのご指摘をいただきました。

壁に貼ってある新聞の切り抜きや、『温泉博士』という雑誌、パンフレットの記事などをそれぞれページを開きながら説明していただきました。
毎日3時間かけて風呂場を高圧洗浄機で洗っているんだそう。壁の新聞の記事の写真には高圧洗浄機片手のおやっさんが写っている。
『温泉が湧いている場所は知ってるのか?』
いえ…と答えると、『こっちだ』とトイレの横の窓まで誘導。開いた窓から駐車場向こうの建物を指さして、
『あの裏の建物が息子がやっている歯医者で、あの梅の木の向こうに1200メートル掘って~~~…』
話を聞いてる途中で、(あ!ロビーに服と一緒に車のキーが置きっぱなしだった)と思い出し、途中から意識がそっちにいってしまって話半分な時があった。でも1200メートル掘るってすげぇなぁ…。

ここの地の下に温泉の脈があるのがわかってて掘削したのかと聞けば、『いや、バクチだったよ』と。それもすげぇ。

おやっさんは、この旭温泉が多くの温泉好きに大絶賛されているのがすごく誇りの様だ。
いろんな雑誌やメディアに取り上げられ、日本各地からわざわざここの温泉に入りに来るんだとか。

『どこからきたの?』
『静岡です、山登って帰りに寄らさせていただきました』

そのオレの答えに『あ、そう…』とちょっとだけテンション下がったかの様。
しまった!山登りのついでに寄ったみたいに言っちゃった。しかも静岡だなんて隣の県だし。もっと空気読んだ方が良かったのかな?(考えすぎだよ)
…ってか、オレってどこの県の人だと思ったんだろうか。オレの言葉の節々に混ざる地元の『志太弁』がどこか遠くの田舎の県に感じたのか、顔の造りがいなかっぺに見えたのか…。


でもカッコイイね。
山や島なんか旅してると、時々こういうかたのお話を聞くことがある。相当自信がある様で、グイグイ攻めてくる。一人語りに近いというのか、こっちは相づちぐらいしか打てなくなってしまうほど語りのラッシュをもらう。
このおやっさんは、地元の為にバクチで温泉脈を引き当て、営業できるようになるまでの苦労と、毎日3時間かけて浴槽を掃除したりして、日々の運営の努力で日本全国ここまで有名になるほどにしたんだから、自信がつかないワケがない。苦労を乗り越え、努力を怠らない人は強い!素直に強い!
いやぁ、バイタリティのある人ってホントにカッコイイ。日々充実してるんだろうね。うらやましい!


『ごちそう様、お世話になりました、また来ます』と言って湯呑を返した。
おやっさんは今度は和室に横になっている若者に『温泉水飲んだ?』と声をかけている。

お、新たな語りスタートかな。 なんだかニヤリとしてしまった。







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by moriyart | 2018-04-28 23:00 | 茅ヶ岳