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どこかに行きたい

moriyart.exblog.jp

粟ヶ岳・千葉山

『この冬いちばんの寒気が流れ込むでしょう』

天気予報のお姉さんのこの言葉を聞いて、山梨県の山を諦めた。
山の気温が低くて諦めたのではなく、道路の凍結が心配で止めたのだ。なにせ愛車にはスタッドレスが付いていないので、降雪地帯への移動にかなりの恐怖を感じる。国道でオレの車がトリプルアクセルをしかねない。中に乗ってる俺は織田信成ばりに号泣しそう。

雪の降らない場所でも、山から染み出してきた水が凍結している可能性がある。陽の出た日中に走行するならまだしも、大体は早朝だ。朝の6時7時頃なんていちばん気温が低い時間帯なので、その頃に山の麓をノーマルタイヤで走るのは、やっぱりやめた方がいいのだろう。
後ろ髪引かれる思いだが、家族のため、自分のために山梨への移動を断念した。


…と、なるとどこへ行こう。
せっかく山へ行く許可をもらってるのでに全ての計画を無しにしてしまうのはもったいない。
ノーマルタイヤで行けて、そんなに遠くない場所ってどこかあったっけ…?
そんなことを思っていた時に、頭の上に電球が光り輝いた。ついでに頭も光った。

職場に向かう途中の道、西向きの道を走っている時に、空気の澄んだ晴れた日は山体に樹木で『茶』の字が描かれた山が見える。職場から10km以上離れているはずなのに、なぜか数キロ先の様に近くに見える。望遠レンズの『圧縮効果』の様な感じだ。不思議でならない。
当然その山の事が気になり、調べた。そして調べて分かったことは『山頂まで道路が通り、車で行くことができる』。
(なーんだ、それじゃ意味ないじゃん)
なんて思って、登りたい気になる山から除外していた。しかしもっとしっかり調べてみると、麓に駐車場があり、登山道もあってワリとみんな歩いて登っているみたいなので、そんなら…と自分もその気になる山へと向かってみた。

標高500mちょっとで山行時間も短いので、ついでに国道1号線沿いの手ごろな山を探してみる。目に留まったのが『千葉山』。そういやずーーーっと前に登ったことがあるような…無いような…。まあいい、この二つの山に決定!

…てな感じに決まったのである。



ラジオ体操から帰ってきた母子に見送られて出発した。こんなに明るい時間帯に山へ向かって出発したのって地元の満観峰以来だなぁ。
…にしても寒い。車の外気温計がマイナスの数字を表示していた。マイナスなんてこの冬初めて見たかも。さすがこの冬最強の寒波到来だわ。

国道1号を西へ向かえば、あっという間に山の麓へ。
8時ちょっと前、『東山いっぷく処』駐車場に到着。
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すでに何台かが駐車されていた。
あり?こんなに早い時間に(8時は早くねぇだろ)人なんて全然いないと思ったけど…。オレが車を停めた後も次々に到着する車達。あらら、意外や意外、けっこう人気があるのね。

どうやら山頂の売店は新築に伴い休業中らしい。3月に開業するとのこと。
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駐車場から粟ヶ岳を見上げる。
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かろうじて『茶』の字がわかる。天気が良さそうでよかった。

車から降りて山頂へ向かう人、粟ヶ岳から下りてきて車に乗り込む人、ほとんどの人は小さめなリュックか全く背負ってないかどちらかだ。
オレみたいに30リットルオーバーのザックを背負ってる人はいない。うーんどうしよう。
でも千葉山にも登るし、昼メシも入っているから大きくなっちゃったんだけど…。大きすぎてギョーギョーしいかなぁ。
『ホラ見て?あの人、粟ヶ岳ごときにあんな大きいのを背負ってきちゃってプークスクス。あ、こっち見た知らんふり知らんふり』
とかなんとか笑われちゃうかも。

…また始まった。
他人の装備なんて気にする人なんかいるわけないのに、いちいち人の目なんて気にして小せぇ野郎だ。
いや、でも今到着した軽自動車から二人のおばさまが降りて、やっぱり何も持たずに山頂へ向かっていった。

よ…よーし、今回は おさんぽって事で、ザックは置いていこう。(意気地なし)

ザックからカメラ2台を取り出し、ウエストバッグに入れ、ペットボトルのお茶を手に持って車のカギを閉めた。
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8時5分、駐車場を出発。
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アスファルトの道を上がっていく。
下りてきた二人組のおばさまから『いってらっしゃい』のあたたかいお言葉をもらった。もちろんその人たちはトレッキングポールのみを手にしていた。いちいち人の装備を気にしてバカかよ。

道路沿いにはお茶畑。
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他県の人が、静岡のお茶畑の山を見ると、『パンチパーマ』みたいと感じるらしいが、うまい表現を思いついたもんだと感心してしまう。

見上げると『防霜ファン』がある。
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そよ風が吹いているので、風につられてファンがゆっくり回っている。
対岸の山の茶畑にもあちこち防霜ファンがあって、それらも風に吹かれて回っているらしく、羽に陽光が反射して不定期にキラキラ瞬いていてなんだかキレイ。対岸の山全体に宝石をまぶした様でキレイ過ぎて見入ってしまった。

目の前には杖を突いて歩くおじいちゃん。
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近所の人で、朝の散歩なのか。ただ、歩幅が10cmくらいしかなくて非常に鈍足だ。まあ山頂まで行かないとは思うけど、行くとするなら丸一日かかりそうだ。

散策道沿いにはたくさんの道標や看板がある。看板なんかは登山者にアットホームに話しかけるものが多い。
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『気を付けて登ってね』
うーんアットホーム。

茶畑の間を登る。
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山頂がちょっと近づいたみたい。
道沿いのお茶がキレイに刈り揃えられている。
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さっきまでほとんどコンクリートかアスファルトの道だったが、半分を超えたあたりからようやく土の道に変わった。
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山道らしい道になってきた。
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そこから東を望むことができた。
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駿河湾の先に伊豆半島が見え、さらにその向こうに伊豆諸島が見える。天気ええです。

人の手が入っている山だが、時々巨木なんかもあったりして自然を感じることもできた。
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山頂間近になると、道の横に岩がゴロゴロ転がっている場所もある。
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と、突然『粟ヶ岳頂上』の小さな看板が…。
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足元には三角点の様な細~い柱があった。
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8時57分、『粟ヶ岳』山頂に到着。532m
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あまりにも唐突な山頂の到着に、(やったぜ)的な感動が半減だった。
粟ヶ岳の山頂は広場にはなっておらず、登山道沿いにひっそりと山頂の看板があった。細い道の両側すぐに樹木があるので閉塞感がすごい。

『粟ヶ岳山頂全天球画像』
↑クリックで全天球画像

その山頂からほんのちょっと歩くとなにやら建物が見える。
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by moriyart | 2019-02-03 07:18 | 粟ヶ岳・千葉山