2019年 08月 13日
乗鞍岳Ⅱ
また今週末も山に行ける!今度はどこの山に行こう!
きっと台風の影響で土日晴れではないだろうと日帰りを計画する。
終わってみれば土日は快晴でテン泊の山行に行けたんだけど、このときはそこまで予想できなかったから しゃーない。
保存してある山行のプランをいくつか開いてどの山にするか腕を組んで考える。
いちばんの候補は『国師ヶ岳』。駐車場からとても近いからサクッと登れる。先週 御嶽山に登ったから今週は軽く済まそうと最初のうちはそう考えていた。国師ヶ岳に金峰山もつけちゃえ!前に金峰山に登ったときに山頂にある『五丈石』のテッペンまで登ることができなかったからリベンジしたいし。よーしこれでいいかな。
…でも、やっぱり北アルプスの景色を見たい。
あの雄大な岩稜ちっくな景色を見て気持ちよくなりたい。わくわくゾワゾワするあの感覚を味わいたい。そう心の奥底で願っていた。
ポチポチとネットを見ていて目に留まった山、『大天井岳』があった。
コースタイム14時間半。朝4時に出ても夜に下山になってしまう。コースタイムの倍率を調整してみる。0.7くらいまで落とすと14時過ぎくらいには下山できそう。頑張ればイケちゃうかも!いや、オレなら行けるぞ!
心はもう大天井岳一色になり、もう他は考えられなくなってしまった。そしてワクワクしながらザックにカップラーメンやら火器なんかを詰めていく。
支度もほとんど終わった頃、トイレに入った。
便器に腰掛けていたら興奮していた気持ちがだいぶクールダウンされてきた。
(ってか、無理ありすぎんじゃね?コースタイムの70%で歩くってさ、100分かかる道のりを70分にするって事でしょ?ほんのちょっと早歩きしないとだし)
(道のりも19kmだなんて、そこまで歩いた山行は数えるほどしか無いし。しかも岩稜帯を、だよ?20km以上歩いた山行もあるけど林道や平坦な尾根だったしなぁ…)
(歩き切る体力の自信はある。ただ膝がもつかどうか…膝は消耗品っていうしね。ってか時間が長すぎて最後の方に飽きてしまって、歩き方が雑になり転んで怪我しそう)
(うーん……)
やっぱりやめよう!無茶せず安全に行こう!
トイレから出て、もう一度パソコンの前に座った。そしてネット経由で提出された大天井岳の登山届を取り下げた。盛り上がっていた気分が一気にダウンしてしまったけど、いいんだ、コレで。もう無茶をする歳じゃ無いんだよ。のんびり楽しく行こうじゃないか。
じゃ、どこに行こうかなぁ…それでも北アに行きたいなぁ。
ネットの山岳地図をマウスでグリグリスクロールさせて、偶然画面の中央に来た山。
それが『乗鞍岳』だったのである。
ホントにウソみたいな決まり方だけど、オレの山行の決まり方ってこんなのもあるんですわ、ハイ。
(乗鞍岳はもう登ったしなぁ…シャトルバスで一気に2700mまで上がっちゃうから登る面白みがなぁ…)
なんて思いながら山頂へ繋がる登山道を見ていたら、ワリと下のほうから山頂へ向かう登山道があるのに気がついた。
おっ!と、なり、前のめりでモニターを覗き込む。このルート良さげじゃない?そうだよ、シャトルバスに乗らずに歩いて登ればいいじゃん!コースタイムも道の長さも膝と体力にやさしそうだし。ついでにゲットしてなかった乗鞍岳のバッジを買ってこよう!乗鞍大雪渓に友達の組長がいるか見に行こう。ここはひとつ組長がその日に行く予定があるのかとかをあえて調べずに行くのもおもしろいぞ。偶然逢えたのならそれこそ運命的だ!
よーし完全に乗鞍岳に決定!
…いいのか?こんな決まり方で…。
深夜に『三本滝駐車場』到着。
『乗鞍エコーライン』はマイカー規制されている道路だ。三本滝は車で登ることができる最終地点なので、混み混みだったらどうしようと心配して来たが、広い駐車場に4台程度しか停まってなく、かなり余裕があった。
今回もそこまで急いで登らなくても時間に余裕があるが、やっぱり今日も35℃くらいの気温になるらしいので、雲ができて景色が見えなくなるのがイヤなので早め登山にした。
4時半にスマホのアラームで目を覚まし、コンビニで買ってきた惣菜パンを食べた。
車外に出ると高原ゆえにとても涼しい。外に出ている人も少なく人の目も無いので車の横で盛大にストリップショーをして山服に着替えた。
他に停まっている車たちは登山客ではなく、ロードチャリ乗りの人達みたいだ。車の横にチャリが置いてあったり、ピチピチウェアが干してあったりする。
5時ちょうど、三本滝駐車場を出発。
当たり前だがこの時間ではレストハウスは営業していない。静かだ。
レストハウスの脇に三本滝に向かう登山道がある。
当然、オレ以外にこの時間から山へ向かう人はいなかった。
さみしくはないんだけど、熊とか出たらヤダなぁ。一人じゃどうしようもできないもんなぁ。
しばらく森の中を歩く。
涼しくて静かだ。
木々の間から太陽が顔を出した。
またしばらく歩くと幅のある滝のような場所に出た。
これがその滝?わかんないけど階段を上って先へ進む。
つり橋を渡る。
新しいのかな?しっかりしている。
更に奥へ進むと三本滝に到着。
三本ってどんな三本なんだろうと思ってみれば崖の面の違う場所に各々三種類の滝が流れていた。
そのうちのひとつ。
崖面を伝いながら沢のように流れる滝。
二つ目
高い所から一気に滝つぼまで落ちる滝らしい滝。
三つ目
崖の面を広がりながらチョロチョロ流れ落ちるおとなしい滝。
なるほど、三種類の滝ってコトね。上から三つに分かれてる滝とか、上段から3段分ある滝とか色んな滝を想像してたっけ。でも見事。最初に見つけた人すごいな。けっこう山奥じゃん。
三本滝から少し戻って乗鞍岳へ向かう登山道を歩く。
歩いていると前方の景色に妙な違和感があったので近づいてみた。
橋が崩れ落ちていた。
『危険』という黄色いテープが張り巡らされてた。この前の豪雨で崩れてしまったのだろうか。迂回路がすでにあった。
ってか、なんだかんだ登りごたえがある道だ。まだ調子が上がってきてないのでゼーゼー息が切れる。時々立ち止まって息を整える。この程度でエラがってるんじゃとても大天井岳なんか行けたもんじゃないわ。ホントに行かなくて良かったかも。
それでもしばらく上るとだんだん登りの角度が緩くなってきたのと、小一時間歩いて調子も上がってきたので少しペースを上げた。
む!人工物が見える。
これってもしかして…
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きっと台風の影響で土日晴れではないだろうと日帰りを計画する。
終わってみれば土日は快晴でテン泊の山行に行けたんだけど、このときはそこまで予想できなかったから しゃーない。
保存してある山行のプランをいくつか開いてどの山にするか腕を組んで考える。
いちばんの候補は『国師ヶ岳』。駐車場からとても近いからサクッと登れる。先週 御嶽山に登ったから今週は軽く済まそうと最初のうちはそう考えていた。国師ヶ岳に金峰山もつけちゃえ!前に金峰山に登ったときに山頂にある『五丈石』のテッペンまで登ることができなかったからリベンジしたいし。よーしこれでいいかな。
…でも、やっぱり北アルプスの景色を見たい。
あの雄大な岩稜ちっくな景色を見て気持ちよくなりたい。わくわくゾワゾワするあの感覚を味わいたい。そう心の奥底で願っていた。
ポチポチとネットを見ていて目に留まった山、『大天井岳』があった。
コースタイム14時間半。朝4時に出ても夜に下山になってしまう。コースタイムの倍率を調整してみる。0.7くらいまで落とすと14時過ぎくらいには下山できそう。頑張ればイケちゃうかも!いや、オレなら行けるぞ!
心はもう大天井岳一色になり、もう他は考えられなくなってしまった。そしてワクワクしながらザックにカップラーメンやら火器なんかを詰めていく。
支度もほとんど終わった頃、トイレに入った。
便器に腰掛けていたら興奮していた気持ちがだいぶクールダウンされてきた。
(ってか、無理ありすぎんじゃね?コースタイムの70%で歩くってさ、100分かかる道のりを70分にするって事でしょ?ほんのちょっと早歩きしないとだし)
(道のりも19kmだなんて、そこまで歩いた山行は数えるほどしか無いし。しかも岩稜帯を、だよ?20km以上歩いた山行もあるけど林道や平坦な尾根だったしなぁ…)
(歩き切る体力の自信はある。ただ膝がもつかどうか…膝は消耗品っていうしね。ってか時間が長すぎて最後の方に飽きてしまって、歩き方が雑になり転んで怪我しそう)
(うーん……)
やっぱりやめよう!無茶せず安全に行こう!
トイレから出て、もう一度パソコンの前に座った。そしてネット経由で提出された大天井岳の登山届を取り下げた。盛り上がっていた気分が一気にダウンしてしまったけど、いいんだ、コレで。もう無茶をする歳じゃ無いんだよ。のんびり楽しく行こうじゃないか。
じゃ、どこに行こうかなぁ…それでも北アに行きたいなぁ。
ネットの山岳地図をマウスでグリグリスクロールさせて、偶然画面の中央に来た山。
それが『乗鞍岳』だったのである。
ホントにウソみたいな決まり方だけど、オレの山行の決まり方ってこんなのもあるんですわ、ハイ。
(乗鞍岳はもう登ったしなぁ…シャトルバスで一気に2700mまで上がっちゃうから登る面白みがなぁ…)
なんて思いながら山頂へ繋がる登山道を見ていたら、ワリと下のほうから山頂へ向かう登山道があるのに気がついた。
おっ!と、なり、前のめりでモニターを覗き込む。このルート良さげじゃない?そうだよ、シャトルバスに乗らずに歩いて登ればいいじゃん!コースタイムも道の長さも膝と体力にやさしそうだし。ついでにゲットしてなかった乗鞍岳のバッジを買ってこよう!乗鞍大雪渓に友達の組長がいるか見に行こう。ここはひとつ組長がその日に行く予定があるのかとかをあえて調べずに行くのもおもしろいぞ。偶然逢えたのならそれこそ運命的だ!
よーし完全に乗鞍岳に決定!
…いいのか?こんな決まり方で…。
深夜に『三本滝駐車場』到着。
『乗鞍エコーライン』はマイカー規制されている道路だ。三本滝は車で登ることができる最終地点なので、混み混みだったらどうしようと心配して来たが、広い駐車場に4台程度しか停まってなく、かなり余裕があった。
今回もそこまで急いで登らなくても時間に余裕があるが、やっぱり今日も35℃くらいの気温になるらしいので、雲ができて景色が見えなくなるのがイヤなので早め登山にした。
4時半にスマホのアラームで目を覚まし、コンビニで買ってきた惣菜パンを食べた。
車外に出ると高原ゆえにとても涼しい。外に出ている人も少なく人の目も無いので車の横で盛大にストリップショーをして山服に着替えた。
他に停まっている車たちは登山客ではなく、ロードチャリ乗りの人達みたいだ。車の横にチャリが置いてあったり、ピチピチウェアが干してあったりする。
5時ちょうど、三本滝駐車場を出発。
当たり前だがこの時間ではレストハウスは営業していない。静かだ。
レストハウスの脇に三本滝に向かう登山道がある。
当然、オレ以外にこの時間から山へ向かう人はいなかった。
さみしくはないんだけど、熊とか出たらヤダなぁ。一人じゃどうしようもできないもんなぁ。
しばらく森の中を歩く。
涼しくて静かだ。
木々の間から太陽が顔を出した。
またしばらく歩くと幅のある滝のような場所に出た。
これがその滝?わかんないけど階段を上って先へ進む。
つり橋を渡る。
新しいのかな?しっかりしている。
更に奥へ進むと三本滝に到着。
三本ってどんな三本なんだろうと思ってみれば崖の面の違う場所に各々三種類の滝が流れていた。
そのうちのひとつ。
崖面を伝いながら沢のように流れる滝。
二つ目
高い所から一気に滝つぼまで落ちる滝らしい滝。
三つ目
崖の面を広がりながらチョロチョロ流れ落ちるおとなしい滝。
なるほど、三種類の滝ってコトね。上から三つに分かれてる滝とか、上段から3段分ある滝とか色んな滝を想像してたっけ。でも見事。最初に見つけた人すごいな。けっこう山奥じゃん。
三本滝から少し戻って乗鞍岳へ向かう登山道を歩く。
歩いていると前方の景色に妙な違和感があったので近づいてみた。
橋が崩れ落ちていた。
『危険』という黄色いテープが張り巡らされてた。この前の豪雨で崩れてしまったのだろうか。迂回路がすでにあった。
ってか、なんだかんだ登りごたえがある道だ。まだ調子が上がってきてないのでゼーゼー息が切れる。時々立ち止まって息を整える。この程度でエラがってるんじゃとても大天井岳なんか行けたもんじゃないわ。ホントに行かなくて良かったかも。
それでもしばらく上るとだんだん登りの角度が緩くなってきたのと、小一時間歩いて調子も上がってきたので少しペースを上げた。
む!人工物が見える。
これってもしかして…
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by moriyart
| 2019-08-13 16:35
| 乗鞍岳