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どこかに行きたい

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カテゴリ:焼岳( 3 )

その3(焼岳)

感 想

焼岳は1962年の大噴火から最近の1992年まで頂上(火口近辺)に近寄ることができなかった。
95年にも水蒸気爆発を起こし、わりと活動が盛んな火山だ。なので本当に登ってもいい山なのかちょっと心配になったりもした。

上高地にある『大正池』は大正4年の焼岳の噴火で梓川がせき止められてできた池だ。大正池も立派な観光地なので上高地という名所を作ったのは焼岳が貢献していると言っても過言では無い。
そう思うとちょくちょく噴火していて今もなお活発に蒸気を噴き出しているのでなんとなく心配になる山なのだろう。

”もしかしたら近い将来、噴火をしてまた数十年登ることができなくなってしまうかもしれない”

そう思って登れなくなってしまう前に今回登ってみたのである。
山頂から火口を見下ろしている時、今噴火したら絶対に逃げられないどころか遺体すら発見されないんだろうな…と、ゴクリと唾を呑んだ。ずっと前に『走って逃げたらいいじゃん』なんて思ってたけど、ここ一帯の地面ごと吹き飛ぶので飛べる鳥でも死んでしまうであろう。圧倒的地球の力である。

実のところ焼岳は『簡単に登って降りてこれるちょっとした山』と勝手に勘違いしていて、いつかどこかのついでに登ろうと計画していた。北アルプスの他の山々に比べれば知名度がちょっと低いからだ。今回も仙丈ケ岳が先に決まっていて、翌日登るもう一つはどこにしようかな…なんて完全に後付けされた山なのであった。

完全にナメてました、すんません!

実際登ってみて北アルプスの他の山にも全く引けを取らない素晴らしい山だというのを知ることができた。
『ついでに登る山』なんて言っちゃってホントにごめんなさい。見どころ満載の最高の山です。
大地の息吹を直に感じることができます。呼吸しているかのような噴気、体温でもあるかの様な地温。声を出しているかのようなフーーーーー!という蒸気の音。
地球って生きているんだなぁ…。


『日帰りでどこかいい山とか知らない?』

もし誰かに聞かれたら、まっさきにこの山が頭の中に出てくるんだろうけど、
絶対紹介できないんだろうなぁ…。
ってかトイレを駐車場に造ってください。こんなにいい山なのにウ〇コまみれなんてかわいそうすぎる。
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焼岳
おしまい




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by moriyart | 2016-10-22 13:41 | 焼岳

その2(焼岳)

このあたりから地面のあちこちから蒸気が噴出している。
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もう普通に登山道のすぐ脇から出ていて、特に近寄れないような措置をしてあるわけでもない。
噴き出している所の地面を見るとこぶし大の穴ぼこが開いていた。
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のぞいてみるも深い穴で底が見えない。辺りは”あのオナラの様な”硫化水素のにおいがするんだけど特別この穴から強いにおいは感じない。
手をかざしてみる。あれ?思ったより熱くない。もうちょっと穴に手を近づけてみた。

あっつ!!!

あっちぃ!やっぱ100℃近くあるわ。びっくりしたぁ。
ホントに何気ない場所に噴き出し穴があって、転んで手や顔が穴に入ってしまえば大やけどを負ってしまいそう。夜間の登山は絶対危なそうな感じだ。
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進むにつれて蒸気が出ている穴が増えていき、吹き出す量も多く高くなっていく。
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もうすぐ山頂だ。
時折やさしく吹き抜けるキンと冷えた風がめっちゃ心地いい。秋の登山ってコレがいいんだよなぁ。
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景色がいいけど、道に斜度が付いてきてけっこうキツイ。ゼーゼー息を切らしながら登っていく。

道のずっと上の方で3人の若い男女のパーティが岩に寄りかかって休憩している。すごく開けた場所なので騒いでいる声が周囲に響き渡る。近づくにつれて何か楽しそうに言い争っている。
『オスプ〇イは落ちないよ』
『いや落ちるって』
『いやいやオス〇レイは落ちません』
最後に女の子が声を張り上げて、
『オ〇プレイは落ちませぇーん!!』
と、主張していた。

その主張が終わったころにオレがそのパーティに追いつき、こんちわと挨拶をして目の前を横切っていく。
そのときに、『オスプレ〇は落ちないと思いますよ』とついつい言ってしまった。
『ほらぁ!やったぁ!これで2対2だねっ!』
女の子が歓喜し、他の男女が笑っていた。

けっきょく何の言い争いなのかはさっぱりわからん。
『未亡人せーぞー機』などと何かと批判が多い機体で、常に政治的何かが付きまとうこのかわいそうな飛行機。オレは〇スプレイには肯定も否定もしないけど、できれば落ちてほしくないのでそんな願いを込めてオレは”落ちない”を選択した。

あ!
もしかしてアメリカのザックのメーカーの『OSPREY』のこと言ってんのかな?落ちるんじゃなくて『堕ちぶれる』とかの意味だったとか…。足を止めて首を傾げる。

いや、考えすぎだわコリャ。




山頂のすぐ下まで来た。
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安房峠の 中の湯からの登山道とここで合流する。やっぱそっちから登ってくる人が多くてここから先は けっこうな人数がいる。ってかこの人数分の駐車スペースって絶対無いはずなんだけど、さてはみんな路駐だな、きっと。
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山頂まであとちょっとというところで蒸気が噴き出している場所があった。
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硫化水素が変化したものなのかわからないが、硫黄のような物が岩について黄色くなっている。
なんか雰囲気ヤバそう。そしてついに、

8時50分、焼岳北峰山頂に到着。
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だいたい4時間で登れました。まあこんなもんでしょう。
南峰は現在立ち入り禁止だ。崩落の危険がある為らしいが、北峰から眺めると南峰の山頂に人影が見えた。
こらこら、いかんぞ。
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山頂はそこそこ広い。ちょっと傾斜してるけどかなりの人数が休むことができそう。
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山頂からの景色はスンバラシイの一言。穂高連峰を奥行きを感じるビューで槍ヶ岳まを眺めることができる。穂高どころか左右に広がる笠ヶ岳から常念方面なんかもパノラマで楽しめる。超ダイナミック。

南側にはすぐ隣の山、『乗鞍岳』が見える。
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視線を動かすと焼岳のお釜、火口湖も見える。
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爆裂火口も見えるけど角度的に底が見えない。それがまたちょっと怖い。

山頂からの絶壁の下には何やら黄色い一帯が見え、周辺は蒸気が噴出していた。
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後で行ってみよう。

後を振り返ると岬の様に突き出た岩があった。
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登ってくれと言わんばかりの雰囲気を出しているので、近くのおねぇちゃんに頼んで写真を撮ってもらった。
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なんか宝剣岳の山頂の岩みたいだけど、あっちよりかは登りやすい。そのかわりてっぺんは非常にせまく尖っているので足の置き場が無い。左足なんかつま先が上を向くような置き方しかできなくて超不安定。
立ち上がるとグラグラしてしまって危ないんだけど、ヘンな脳内麻薬が出てしまっているので立ってみた。
そんな危なっかしいオレの立ち上がる動作を見たおねぇちゃんとその仲間たちがキャーと声を上げた。

撮ってもらってカメラを受け取ってお礼を言って別れる。
『わたしたちも行ってみよう』とおねぇちゃんたちが岩に近づいて登ろうとしている。

『えっ私コレ無理。絶対ヤバいって。ってかさっきのオジサンすごい!おかしい!

おかしい言うなし…。
そして20代の若い子達にもいよいよ”オジサン”と言われるようにもなったか。ちょっと前くらいまで子供から言われてたけど、ついに成人超えた人からも”おっさん”認定されましてうれしい限りですわ。(遠い目)
あと数年もすりゃ”クソジジイ”に昇格するでしょう。

前々から薄々そうかなーって思ってたけど、高所の恐怖の感じ方が人よりちょっと鈍いかも。要するにドンカンっちゅうことだ。良い事なのか…悪い事なのか…。
ま、無謀なことをしてアホな死に方をしない様に気を付けますよ。



まだ9時なんだけどご飯食べている人が多かった。オレも朝飯から5時間近く経っているので、持ってきたカリカリ梅のおにぎりを穂高を見ながら食べた。
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食べ終わってから山頂から見下ろした場所にある蒸気がたくさんでいている場所へ移動した。
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地面に穴ぼこがあちこちに開いていて、蒸気が噴き出している。硫黄成分でも出ているのか 周りの岩が薄黄色に色づいている。
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穴をのぞき込んでみても内部がどうなっているかわからない。
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カメラのフラッシュを焚いても穴の底なんて見えやしない。
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焼岳の他の人の山行記録をいくつか見ていると何人かは この蒸気を利用して『温泉たまご』を作っている人がいた。
なのでオレもチャレンジしてみようと いろいろ用意してきた。

ネットに玉子を入れ、ひもで吊ってさっきの穴に入れてみる。
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そのネットとはキッチンの排水かごに被せるネットであった。新品とはいえ、残飯用ネットを使うところがなんか ぶしょったくてオレらしいクオリティだ。いいのいいの、これもオレの人間性。

腕時計を見て時間を計る。オレの予想では10分でできる。
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待っている間、景色を見たり訪れる人を観察したり…。
一眼を首から下げたおねぇちゃんがやってきて黄色く染まった岩や蒸気が噴き出す穴を一生懸命パシャパシャ一眼で撮りまくっている。
ファインダーを覗いたまま移動して撮っていると、そのうち足元の穴に半分入っているネットに気が付いて、ファインダーから目を離し肉眼でのぞき込む。(なんだろう)なんて思ったんだろう。目を見開いてネットをのぞき込む。
そのネットのすぐわきのオレの足に気が付いて目を見開いたまま顔を上げてオレの顔を見る。
『温泉たまご作ってるんです』
そう言うとさらに目をまんまるにして驚いていた。
ネットではわりとポピュラーなんですと説明したが、彼女は知らなかった。ってかこんなことやってる人は周りを見てもオレしかいない。
『良い温泉たまごができますように~』
そんなお言葉をもらっておねぇちゃんが下りて行った。



10分経過。
失敗してたら恥ずかしいので岩の陰に移動して殻を剥いてみる。おっ!なんか良さそう。
白身の一部がトロトロしてる部分がある。一口かじってみた。
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黄身が半透明だ。ギリギリ個体な状態。大成功!
かじった玉子を撮るのはちょっと下品だけど、中の具合を記録したかったのでカンベンね。

小袋に入れてきた塩を取り出してまぶしてからもうひとかじり。
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うんまいなぁ…。
半分かじった玉子を空にかざしたりしてニヤニヤしながら成功を喜んだ。一人コソコソ岩の陰に隠れてなにやってんだか。
でも山の上で温泉たまごを作って食べるだなんておいしく楽しいイベントをすることができた。ネットで情報をくれたみなさんに感謝です。今度はもっとトロトロな状態でラーメンに入れたいなぁ。絶対ウマイよきっと。ウマすぎておしっこ漏らすよ。

温泉たまごも食べて満足したので10時前に下山をはじめた。
まだ午前なので登ってくる人が多い。しかし中の湯方面や上高地から登ってくる人ばっかで、オレが登ってきた中尾方面はやっぱりマイナーなのか、あまり人に逢わなかった。
森林限界より下がるとさっきの岩っぽい雰囲気からガラっと変わり、森の中へ。



もうすぐ駐車場ってところにあった温泉を採取する所。
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今朝は真っ暗闇で湯気しか見えなかったけど、こんな感じだったんだ。
なんか雰囲気あって好き。”蒸気機関”って感じでカッコいい。 いやでも機関部分とか無いじゃん。いいの、雰囲気雰囲気。

そんなこんなで12時半、駐車場へ戻ってきた。活きている火山から生きて還ってこれました。まさに生還。
いやぁ楽しかったYO!



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by moriyart | 2016-10-21 21:50 | 焼岳

焼岳

この山はなんとなく昔からなんとなく行こうと思いながらもなんとなく敬遠していた山でもあった。なんとなく。

※活火山であること
現在も活発に活動している。それをわかってて登るので何かあった時には絶対同情はされないであろう。バカじゃんって言われそう。

※駐車できる台数が圧倒的に少ない事。
ってか駐車場というより、安房峠の『中の湯』道沿いの広くなった路側帯に停めるのが一般的だ。10台くらいしか停められないので早着きしないとまず停めることができない。

※そしてトドメは駐車する場所にトイレが無い!
駐車スペースが少ないから、あえて早く到着して駐車することができてもトイレが無いのでもよおした時にはどうすることもできない。『小キジ撃ち』ならまだしも大きい方に行きたくなったら目も当てられない。
実際、登山道を少し入って脇に入れる藪の中は純白の花が咲き乱れているという。ティッシュの花だ。 駐車スペース付近の藪の中は〇ンコだらけらしい。
おなかの弱いオレには大きい方を一日ガマンするなんて”死ね”と言っているようなもんだ。便秘体質の人が『1週間出ないよー(涙)』なんて言ってるのを聞いてちょっとだけ羨ましかったりもする。そういう人こそ山向きだなぁと思う。

それでもなんとかならないのかと一生懸命調べてみると、焼岳に向かう登山道は幾つかあるのがわかった。
メジャーな中の湯からの登山道とは別に上高地からと中尾高原からと西穂山荘からとがある。上高地と西穂はちょっと意味が違うので除外。
中尾高原からのルートはマイナーで朝まで駐車場の空きがあるという。残念ながら駐車場にトイレは無いが、近くの公共トイレに行って帰ってきても停めるスペースを盗られてしまう事も無い。
かなり遠回りになるがオレには他を選択する余地は無かった。よーしコレで決定。


仙丈ケ岳から中尾高原へ向かう途中、安房峠を超える。その時、例の中の湯の路側帯を横目に走るのだが すでにかなりの台数が停められていた。まだぜんぜん朝まで時間があるけど、この車の人達はトイレに行きたくなったらどうするんだろう。まあ聞いてはいけないのかな。


中尾の登山者用駐車場に到着。
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オレ以外に1台しかいない。さすがマイナー駐車場!これならトイレに行きたくなっても車に乗って川沿いの公共トイレに行けそう。
そういう気持ちの余裕って逆に安心パワーになるらしく、不思議とトイレに行きたくならない。”いつでも行ける”という気持ちが逆に便意を消しているのか。なので安心して寝た。

さすがに明け方までには数台がこの駐車場にやってきた。
ホントは明るくなってから行動しようかと思ったが、その人たちが4時台から支度を始めたので釣られて支度をした。

5時ちょっと前に出発。
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真っ暗だ。ヘッデンを頼りに歩くって久しいなぁ。車が通れる林道をしばらく歩く。前後に誰もいない。熊とか出たら なすがままキュウリがパパなんだろうね。かなりドキドキだ。

暗がりからなんか音が聞こえるので照らしてみれば温泉を採取している施設だった。
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火口域を示す標識があった。
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やっぱりこういうものを見ると気が引き締まる。『自己責任』だということを。
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林の中でも5時半になると空が白み始める。
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6時前、白水の滝が見えるポイントに来た。
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遠くの山腹に滝が見える。
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滝が流れている岩肌が白くなっているので、きっと温泉成分の影響なんだな…と、勝手に解釈した。
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ついに火口から1km圏内に入る。ちょっとだけ緊張。
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振り返ると笠ヶ岳に朝日が当たり始めている。
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またいつか登りたいなぁ。
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7時半、焼岳小屋に到着。尾根沿いに出たらしい。
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小屋の向こうには今までとは全く違った雰囲気の岩だけの山が見える。
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ここまでは樹林帯で土の山。ここから先は森林限界で岩肌の山になる。突然の様変わりに『はぇええ』と声が出た。
なんか山頂のあたりが険しく見えるんだけど登れるんだろうか。

焼岳小屋で『焼岳の山バッジ』を買った。
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カラフルでキレイ。

ヘルメットの無料貸し出しもやっていた。
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小屋の周りのクマザサには霜が降りていた。
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吐く息が白い。

いよいよ火口域まで400メートル以下になる。
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朝日を浴びた焼岳山頂が雄々しい。
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いままでずっと北側斜面を登ってきたので尾根まで出てやっとお日様を見ることができた。
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振り返って森の木々の上にみえるは たぶん穂高連峰。
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陽の光を浴びたら急に温かく感じるようになった。
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定点カメラがある。焼岳を常時観測しているのだろう。さすが警戒レベル1の火山だ。
カメラの向こうの笠ヶ岳が超かっこいい。
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by moriyart | 2016-10-21 21:38 | 焼岳